外国籍社員の給与計算・源泉徴収・年末調整|区分判定から誤徴収の是正まで

外国籍社員の税務 実務シリーズ

外国籍社員の給与計算・源泉徴収・年末調整|区分判定から誤徴収の是正まで

外国籍社員の源泉徴収は、国籍ではなく「居住者・非永住者・非居住者」の区分判定から始まります。判定を誤ると、20.42%の徴収漏れ・不納付加算税10%・年末調整のやり直しに直結します。区分判定の基準から、甲欄・乙欄の使い分け、非居住者20.42%の計算例、年末調整の注意点、誤徴収の是正手続きまで、給与実務の流れに沿って解説します。

最終更新日:2026年7月11日

01結論と全体像:源泉徴収は「区分判定」から始まる

POINT 01
区分判定が全ての起点
源泉徴収の方法は在留資格ではなく税法上の区分(居住者・非永住者・非居住者)で決まります。入社時に判定し、根拠を記録します。
POINT 02
非居住者は20.42%
非居住者への国内勤務分の給与は一律20.42%の源泉分離課税。年末調整・住民税なし。月給50万円なら源泉102,100円です。
POINT 03
誤徴収は放置しない
徴収しすぎは還付請求、徴収不足は不納付加算税10%(自主納付なら5%)+延滞税。発見から是正までの速さが損害を左右します。

外国籍社員の給与計算・源泉徴収・年末調整で押さえるべき結論は、次の4点です。

  1. 入社(着任)時に区分を判定し、記録する——居住者・非永住者・非居住者の判定根拠(雇用契約期間・住民登録・過去の国内居住歴)を人事記録に残します。
  2. 毎月の給与計算で適用区分を確認する——扶養控除等(異動)申告書の有無で甲欄・乙欄を、税法上の区分で20.42%源泉を使い分けます。
  3. 年末調整前に国外居住扶養親族の書類を収集する——親族関係書類・送金関係書類は毎年必要で、30歳以上70歳未満の親族には年38万円以上の送金確認等が加わります。
  4. 誤徴収が判明したら速やかに是正する——過大徴収は還付請求、過少徴収は税務署の指摘前に自主納付します。放置すると加算税・延滞税が増え、社員のビザ更新にも影響し得ます。

誤徴収の多くは「外国人だから非居住者」「海外親会社が払っているから当社は無関係」といった思い込みから生じます。以下、判定→給与計算→源泉徴収義務の境界→年末調整→是正→年間カレンダーの順に、実務の判断基準を整理します。

02区分判定:居住者・非永住者・非居住者(判定は国籍ではなく滞在実態)

所得税法上の「居住者」とは、国内に住所を有する個人、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます(所得税法2条1項3号)。国籍や在留資格の種類は判定基準ではなく、「技術・人文知識・国際業務」でも「経営・管理」でも枠組みは同じです。

実務上の起点は、入国時に予定される日本滞在期間です。雇用契約書や辞令から、国内において継続して1年以上居住することを通常必要とする職業に就くことが明らかな場合、その社員は入国当初から「国内に住所を有する者」と推定され、入国日から居住者として源泉徴収します(所得税法施行令14条)。逆に、契約期間が1年未満であることが明らかな短期赴任者などは、入国当初は非居住者として扱い、国内の居所が1年に達した後は居住者となります。

滞在実態ベースの区分判定フロー。入国時の予定滞在期間が1年以上なら入国日から居住者(さらに過去10年の国内居住5年以下なら非永住者)、1年未満が明らかなら非居住者として20.42%源泉分離課税
図:滞在実態ベースの区分判定フロー。判定の起点は在留資格ではなく、入国時の予定滞在期間です

3つの区分と課税範囲・源泉徴収方法の対応は次のとおりです。

区分 要件 課税範囲 給与の源泉徴収
居住者(永住者) 非永住者以外の居住者 全世界所得 税額表(甲欄・乙欄)+年末調整
居住者(非永住者) 日本国籍がなく、過去10年以内の国内居住期間の合計が5年以下の居住者 国外源泉所得以外の所得+国外源泉所得のうち国内払い・国内送金分 税額表(甲欄・乙欄)+年末調整(国外所得は本人の確定申告で精算)
非居住者 上記以外(滞在1年未満の短期赴任など) 国内源泉所得のみ 20.42%の源泉分離課税(年末調整なし)
⚠️ 「外国人だから非居住者」は誤りです
1年以上の予定で着任し住民登録を済ませた社員は、入社直後でも居住者です。
日本人社員と同様に税額表で源泉徴収し、年末調整の対象になります。誤って非居住者として20.42%で源泉すると過大徴収となり、年末調整でも精算できないため、還付請求などの是正手続き(06)が必要になります。

居住者のうち非永住者(多くの外国籍社員は来日後5年程度はこちらに該当します)も、給与の源泉徴収・年末調整の手順は永住者と同じです。違いが出るのは海外払い報酬など国外源泉所得の取り扱いで、国内送金があると課税範囲が広がります(詳細は非永住者の課税範囲と送金課税)。また、国内居住期間の合計が5年を超えると全世界所得課税に切り替わるため、来日5年前後の社員は課税範囲の再確認が必要です。

03給与計算実務:甲欄・乙欄・非居住者20.42%の使い分け

居住者の給与は「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」で源泉徴収します。甲欄か乙欄かは国籍と関係なく、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出の有無で決まります。

適用区分 対象 必要書類 年末調整
甲欄 主たる給与の支払を受ける居住者 扶養控除等(異動)申告書の提出 対象
乙欄 申告書未提出、または2か所目以降の給与の居住者 なし(未提出の状態) 対象外(本人が確定申告)
20.42% 非居住者(国内勤務に対応する給与) 税額表・申告書とも不使用 対象外(源泉分離で課税関係終了が原則)

「外国人だから扶養控除等申告書は不要」は最も多い誤解です。外国籍の居住者にも提出を受けられます。未提出のまま乙欄(高い税率)で処理を続けると本人は年末調整を受けられないため、入社時の提出書類リストに必ず含めてください。

非居住者20.42%の計算例

非居住者に支払う国内勤務分の給与は、国内源泉所得として20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)の源泉分離課税です。税額表は使わず、社会保険料控除や扶養控除等の所得控除も適用されません。

計算例:月給50万円(総支給額)の非居住者社員

源泉徴収税額 = 500,000円 × 20.42% = 102,100円(差引支給額 397,900円)

※総支給額(グロス)に課税します。年末調整の対象外で、住民税の特別徴収もありません。

徴収した源泉所得税の納付期限は原則として支払月の翌月10日です。非居住者分は居住者の給与とは別に、「非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書(納付書)」を使用して納付します。なお、給与の支給人員が常時10人未満の場合の納期の特例(7〜12月分は翌年1月20日)の承認を受けているときは、非居住者に支払う給与・退職手当の源泉所得税も特例の対象に含まれます(所得税法216条)。ただし特例の対象は給与・退職手当・税理士等報酬に限られるため、非居住者への使用料・配当など他の国内源泉所得の源泉分は対象外(原則どおり翌月10日納付)である点に注意してください。

住民税は前年所得に対して1月1日時点の住所地で課税され、特別徴収は6月から始まります。来日1年目は天引きがなく2年目の6月から手取りが減るため、入社時に仕組みを説明しておくとトラブルを防げます。

04源泉徴収の境界線:海外払い給与・出向・株式報酬

源泉徴収義務は、原則として「国内において」支払う給与について生じます(所得税法183条)。海外親会社からの直接払いや株式報酬が絡むと、この境界の判断を誤りやすくなります。類型別の整理は次のとおりです。

報酬の類型 日本法人の源泉徴収義務 実務対応
日本法人が国内で支払う給与 あり(甲欄・乙欄/非居住者は20.42%) 通常の給与計算で処理
海外親会社が居住者に国外で支払う給与 なし(国外払いのため) 本人の確定申告が必要。会社は支払の存在を把握し、本人に申告義務を案内
海外親会社等が非居住者に国外で支払う国内源泉所得(支払者が国内に事務所等を有する場合) あり(みなし国内払い・20.42%) 納期限は通常と異なり翌月末日(所得税法212条2項)
海外親会社からの株式報酬(RSU等)で日本法人へのチャージバック(費用付替え)あり 生じ得る 権利確定(ベスティング)時の経済的利益について源泉徴収の要否を検討
同・チャージバックなし 原則なし 本人の確定申告が必要。会社は付与状況を把握し案内

株式報酬(RSU・ストックオプション)は、権利確定(ベスティング)の時点で給与所得として課税されるのが原則です。海外親会社から直接付与される場合でも、その費用が日本法人にチャージバックされているときは、日本法人が給与を支払ったものとして源泉徴収義務が生じ得ます。チャージバックの有無は経理部門への確認が必須です。課税タイミングや付与形態別の整理はRSU・株式報酬の課税実務を参照してください。

出向や、手取り保証(ネット・ギャランティ)・タックスイコライゼーション(TEQ)といった税負担の会社肩代わりにも注意が必要です。海外法人からの出向者について日本法人が給与を支払い、または実質的に負担する部分は、国内払いの給与として源泉徴収の対象です。税負担を会社が肩代わりする手取り保証では、肩代わり税額自体が追加給与となりグロスアップ計算が必要です(試算は外国籍従業員の税務コストと会社負担)。

租税条約(短期滞在者免税)の確認も欠かせません。いわゆる183日ルールにより、①滞在合計183日以内(起算方法は条約により異なります)、②報酬が日本の居住者でない雇用者から支払われる、③報酬が雇用者の国内恒久的施設に負担されない——の3要件を満たす非居住者の給与は日本で免税です。ただし免税は自動適用されません。「租税条約に関する届出書(様式7)」を最初の支払日の前日までに支払者経由で税務署へ提出する必要があります。

05年末調整で見落としやすい5つのポイント

年末調整の対象になるかどうかの基本整理は次のとおりです。

年末調整できる

  • 12月31日時点で居住者
  • 扶養控除等(異動)申告書を提出済み(甲欄)
  • 年間の給与総額2,000万円以下

年末調整できない

  • 非居住者(20.42%源泉で完結が原則)
  • 扶養控除等(異動)申告書を提出していない(乙欄)
  • 年途中で出国し非居住者になった(出国時までに精算)

見落とされやすい5ポイント

1
国外居住扶養親族:書類の毎年更新と38万円送金要件 「去年提出したから今年も有効」は誤りです。親族関係書類と送金関係書類は毎年収集が必要で、外国語の書類には訳文の添付が求められます。さらに令和5年分以降、30歳以上70歳未満の国外居住親族は「留学」「障害者」「その年の生活費・教育費として38万円以上の送金を受けている(送金関係書類で確認)」のいずれかに該当しなければ扶養控除の対象になりません。
2
扶養控除等申告書を収集し忘れ「乙欄」のまま 乙欄は高い税率で源泉されます。年間を通じて乙欄のままだと年末調整ができず、本人が確定申告で還付を受けることになります。本人が制度を知らないまま数年分放置されるケースが実際にあります。
3
年途中出国:出国時までの精算漏れ 出国により非居住者となる社員は12月の年末調整の対象外です。出国の時までに年末調整に準じた精算を行うか、本人が納税管理人を定めずに出国する場合は出国時までの準確定申告が必要です。有価証券等を1億円以上保有する社員は国外転出時課税(出国税)の検討も必要です(ただし住所要件〔出国前10年以内に国内5年超居住〕の判定では、入管法別表第一の在留資格〔技術・人文知識・国際業務、経営・管理などの就労ビザ〕で在留していた期間が除かれるため、就労ビザの社員は対象外となる場合が多くあります)。手続きの全体像は出国時の税務手続きを参照してください。
4
納税管理人の案内漏れ 出国後に不動産所得や株式報酬の権利確定など日本での課税所得が残る場合、本人は納税管理人の届出が必要です。会社に選任義務はありませんが、出国前に案内しないと、出国後に申告不能・延滞という形で問題が表面化します。
5
住民税の異動手続き・一括徴収忘れ 退職・出国時には、市区町村への給与支払報告に係る異動届出と、未徴収残額の一括徴収(原則)または普通徴収への切替が必要です。1月1日時点で国内に住所がなければ翌年度の住民税は課されませんが、前年分の未納が残るとビザ関連の納税証明にも影響します。

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06誤徴収が判明した場合の是正手続き

結論として、徴収しすぎ(過大徴収)は還付請求、徴収不足(過少徴収)は税務署に指摘される前の自主納付が鉄則です。源泉所得税の納税義務者は本人ではなく会社であるため、是正はまず会社側の手続きです。

ケース1:徴収しすぎた(例:居住者に20.42%を適用)

本人には過大徴収分を返金します。納付済みの誤納額は、所轄税務署に「源泉所得税及び復興特別所得税の誤納額還付請求書」を提出して還付を受けるか、充当届出書によりその後に納付する源泉所得税への充当を受けます。なお、20.42%で誤徴収した税額は年末調整では精算できないため、還付請求または充当により是正します。

ケース2:徴収不足(例:非居住者に甲欄を適用、チャージバックのあるRSUの源泉漏れ)

不足額は会社が納付します。税務調査等による納税告知(国税通則法36条)を受けてから納付すると不納付加算税10%、告知を予知せず自主的に納付すれば5%に軽減されます。法定納期限から1か月以内の納付で、直前1年間に納付漏れがない場合には不納付加算税は課されません(計算額5,000円未満も切捨て)。あわせて、法定納期限の翌日から納付日までの延滞税(納期限後2か月以内は年2.8%、それ以降は年9.1%〔令和8年分の割合〕)がかかります。

会社が納付した不足税額は本人に求償できますが、退職・出国後は回収が事実上困難になり、会社負担とすればその負担分がさらに給与課税される二次問題も生じます。損害は発見の遅れに比例して拡大するため、疑いに気づいた時点で試算と方針決定が必要です。

年末調整の誤りのやり直し

年末調整の誤りは、源泉徴収票交付・法定調書提出期限である翌年1月31日までに判明したものは年末調整のやり直しで精算するのが実務的です。それ以降は本人の確定申告(還付申告は5年以内)で精算するか、税務署からの扶養控除等の是正通知を受けて会社が再計算・不足額納付を行います。

過去分の誤りの規模感がつかめない場合や、税務調査を控えている場合は、個別事案として試算した方が早く確実です。単発の論点整理にはスポット相談もご利用いただけます。

07年末調整の実務カレンダー(11月〜翌年1月)

外国籍社員がいる場合の年末調整は、書類の国際的な取り寄せがある分、通常より前倒しの段取りが必要です。

年末調整の実務カレンダー。11月に申告書配布・回収と国外居住扶養親族の書類確認、12月に年税額計算と過不足精算、翌年1月10日に源泉所得税納付、1月31日に法定調書合計表・給与支払報告書提出と源泉徴収票交付
図:年末調整の実務カレンダー。国外居住扶養親族の書類は取り寄せに時間がかかるため10月中の案内が安全です
  • 11月中旬〜下旬:扶養控除等(異動)申告書・基礎控除申告書・保険料控除申告書等を配布・回収します。国外居住扶養親族の親族関係書類・送金関係書類は本国からの取り寄せと訳文準備に時間がかかるため、10月中の事前案内を推奨します。
  • 12月:年税額を計算し、12月支給の給与で過不足額を精算(還付・追加徴収)します。
  • 翌年1月10日:12月徴収分の源泉所得税を納付します(納期の特例適用時は1月20日)。
  • 翌年1月31日:「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を税務署へ、「給与支払報告書」を市区町村へ提出し、源泉徴収票を本人に交付します。ここで提出した数字が翌年度の住民税と課税・納税証明書、ひいては在留期間更新の審査資料につながります。

年の途中で出国・帰任する社員がいる場合は、このカレンダーとは別に出国日基準の精算スケジュールが走ります。帰任・退職時の手続き一式は外国人駐在員の帰任・退職時の税務ガイドを参照してください。

08自社チェックリスト(10項目)

「NO・不明」が1つでもあれば、該当箇所の運用見直しまたは専門家への確認をお勧めします。

  • 外国籍社員全員について、居住者/非居住者の判定記録(判定日・根拠資料)があるか
  • 非永住者に該当する社員を把握し、課税範囲(国外源泉所得・国内送金の取り扱い)を管理しているか
  • 全外国籍社員から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を毎年収集・保管しているか
  • 国外居住扶養親族がいる社員の親族関係書類・送金関係書類(38万円以上送金の確認を含む)を年度ごとに収集しているか
  • 非居住者への給与を20.42%で源泉徴収し、非居住者・外国法人用の納付書で期限内に納付しているか
  • RSU・ストックオプション等の株式報酬について、チャージバックの有無と源泉徴収の方針が明確になっているか
  • 租税条約の適用対象者について「租税条約に関する届出書」を期限までに提出・管理しているか
  • 年途中出国予定の社員に、出国時の精算・納税管理人・住民税の手続きを事前に案内しているか
  • 誤徴収が判明した場合の是正フロー(還付請求・自主納付・本人への求償)が定まっているか
  • HR・Payroll・経理間で外国籍社員の報酬情報(海外払い・株式報酬を含む)が一元管理されているか

チェックの結果、複数の項目で「不明」が付く場合は、担当者個人の努力ではなく仕組みの問題です。体制の作り方は外国籍社員の税務体制構築ガイドを、外部委託の判断基準は外部専門家に依頼すべき5つのサインを参照してください。

09まとめ:「整理・診断・レビュー」の3ステップ

外国籍社員の給与計算・源泉徴収・年末調整の誤りは、区分判定のずれ1つが複数年分の不納付加算税・延滞税・年末調整のやり直しに波及します。再発を防ぐ実務は、次の3ステップに集約されます。

整理:社員ごとの区分と報酬構造を確定させる 在留カード・雇用契約期間・過去の国内居住歴から居住者/非永住者/非居住者を判定し、海外払い報酬・株式報酬・手取り保証の有無とあわせて記録化します。
診断:見落としやすい論点を点検する 国外居住扶養親族の書類、乙欄放置、非居住者20.42%、チャージバックのある株式報酬、租税条約の届出、年途中出国の精算——本記事のチェックリスト10項目で現状を確認します。
レビュー:判定と過去処理を第三者の目で確認し、是正・標準化する 判定の根拠と過去の処理を外部専門家がレビューし、誤りがあれば還付請求・自主納付で是正します。あわせて判定記録・年間カレンダー・是正フローを標準化すれば、担当者が交代しても崩れない体制になります。

よくある質問

外国籍社員の年末調整は日本人社員と同じ手続きでいいですか?

基本的な手続きは同じですが、居住者・非居住者・非永住者の区分により課税範囲が異なります。非永住者は国外源泉所得のうち国内払いまたは送金分が課税対象となる点に注意が必要です。

外国籍社員の源泉徴収でよくあるミスは何ですか?

最も多いのは非居住者への支払いに居住者税率を適用するケースと、海外親会社からのRSU・株式報酬の源泉徴収漏れです。特にRSUは会社側で源泉徴収が必要なケースがあります。

外国籍社員が年途中で入社した場合、年末調整はどうなりますか?

国内での前職分は源泉徴収票の提出を受けて年末調整に合算しますが、海外での前職分は年末調整に含めることができません。来日前(非居住者期間)の海外勤務分の給与は原則として日本では課税されず、申告も不要です。一方、入社後(居住者期間)に国外払い給与などの国外収入がある場合は、本人の確定申告が別途必要になることがあります。

▶ あわせて読みたい:外国人の確定申告 完全ガイドで、外国籍社員の確定申告の全体像(必要書類・居住者判定・期限)を体系的に確認できます。

退職・帰国・短期滞在ビザに関するよくある質問

Q短期滞在ビザ(短期ビザ)で来日した外国人にも年末調整は必要ですか?
A短期滞在などで日本の税務上「非居住者」に該当する場合、年末調整は行いません。国内勤務分の給与は原則20.42%の源泉徴収で課税関係が完結します(源泉分離課税)。一方、契約内容や滞在実態から「居住者」と判定される場合は、日本人社員と同様に年末調整の対象です。ビザの名称だけでなく、居住者・非居住者の判定で扱いが決まる点に注意してください。
Q外国籍社員が年末に退職して帰国する場合、年末調整(出国時年末調整)はどうしますか?
A年の中途で出国して非居住者となる場合は、出国の時までに年末調整を行います(いわゆる出国時年末調整)。出国後も国内源泉所得の申告が必要なときは、出国までに納税管理人を選任して確定申告します。退職金や副収入がある場合は準確定申告等が必要になることもあるため、帰国スケジュールが決まった段階で早めに確認してください。
Q帰国した外国籍社員の住民税はどうなりますか?
A住民税は前年の所得に対して翌年に課税されるため、退職・帰国後も前年分・当年分の住民税の納税義務が残ります。年の途中で出国する場合、未徴収分は最後の給与や退職金からの一括徴収、または納税管理人を通じて納付します。なお住民税は、所得税で確定申告が不要となる給与所得者の「20万円以下ルール」とは別の制度で、所得税の確定申告が不要でも住民税の申告が必要になる場合があります。
山口 淳也
この記事の監修

公認会計士・税理士・行政書士 山口 淳也/ ESPERANZA CONSULTING GROUP 代表

日本および海外のBIG4監査法人・税理士法人・FAS(ファイナンシャルアドバイザリー)にて、クロスボーダー税務・M&A・海外進出支援・国家プロジェクトなどの実務に従事。セミナー登壇多数。税務・会計・法務の専門的観点から、企業のグローバル展開や経営課題を多面的にサポート。