外国人社員・駐在員の確定申告 必要書類・期限チェックリスト【2026年版】
外国人社員・駐在員の確定申告 必要書類・期限チェックリスト【2026年版】
「誰が・いつ・何を」申告するのか。人事・給与・経理の担当者が外国籍社員・駐在員の確定申告で迷わないための、申告要否の早見表・年間期限カレンダー・必要書類チェックリストを、令和8年分(2027年提出)の期限に沿ってまとめました。稟議・社内マニュアルにそのまま使える具体性を重視しています。
最終更新日:2026年7月3日
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外国籍従業員の確定申告 代行サービスを見る ▶外国人 確定申告 の完全ガイドで、外国籍社員の確定申告の全体像(必要書類・やり方・居住者判定・期限)をまとめています。あわせてご覧ください。
確定申告が必要なのは誰か(申告要否の早見表)
外国籍社員の確定申告の要否は、まず居住形態(居住者・非永住者・非居住者)の区分で決まり、次に所得の種類で確定します。この区分を誤ると源泉徴収額そのものが変わり、年末調整・確定申告の双方に波及するため、赴任時・年初の早い段階での確認が重要です。判定の詳細は 非永住者の課税 で解説していますが、実務上は次の早見表で当たりをつけると効率的です。
ポイントは、会社の年末調整だけで課税関係が完結するケースは限定的だという点です。海外本社からの国外払い給与や、RSU・ストックオプションなどの株式報酬(源泉徴収されない給与等)があると、所得税法121条1項の申告不要の特例は使えないため、原則として本人の確定申告が必要になります。期中赴任・期中帰任の社員は、国内払い給与1か所のみで年末調整(出国時の年末調整を含む)が済み、給与以外の所得が20万円以下であれば申告不要です。ただし国外払い給与などがあれば申告が必要になります。自社の駐在員がどのケースに当てはまるか整理がつかない場合は、リスク診断ツールで数分の確認から始められます。
年間 期限カレンダー(令和8年分・2027年)
外国籍社員の税務は、会社側の提出義務と本人側の申告が年間を通じて交互に発生します。令和8年分(2027年に手続する分)の主要な期限を一枚に整理しました。期限が土日にあたる場合は翌開庁日となる点に注意してください。
各期限の要点は次のとおりです。日付はいずれも令和8年分(2027年手続分)の期限です。
- 1月31日:給与支払報告書・法定調書合計表の提出(会社) — 給与支払報告書は各市区町村へ、法定調書合計表・源泉徴収票は所轄税務署へ提出します。令和8年分は1月31日が日曜のため、実際の提出期限は2027年2月1日(月)です。なぜ重要か:源泉徴収票の交付が本人の確定申告の起点になるためです。
- 1月1日〜:還付申告が可能(本人) — 還付申告は確定申告期間を待たず1月1日から提出でき、その年の翌年から5年間提出できます。なぜ重要か:年の途中入社で年末調整未了の社員などは、早期に還付を受けられます。
- 2月16日(火)〜3月15日(月):所得税の確定申告・納付(本人) — 令和8年分の申告期間です(所得税法120条1項)。なぜ重要か:納付も同日が期限で、遅れると延滞税・加算税の対象です。
- 2月1日(月)〜3月15日(月):贈与税の申告・納付(該当者) — 令和8年分の贈与税の申告期間です(相続税法28条1項)。なぜ重要か:海外からの送金・株式贈与などがある社員は所得税と別に申告が必要な場合があります。
- 3月31日:外国親会社株式報酬の調書の提出(会社) — 外国親会社等が国内の役員・従業員に供与した経済的利益(RSU・SO等)に関する調書は、供与等があった日の属する年の翌年3月31日が提出期限です。なぜ重要か:提出義務は日本子会社・支店にあり、本人の申告漏れとあわせて税務調査で指摘されやすい論点です。詳細は RSUの課税 を参照してください。
- 6月30日:国外財産調書・財産債務調書の提出(本人・該当者) — 令和5年分以後、提出期限は従来の3月15日から翌年6月30日に変更されています(国外送金等調書法5条1項・6条の2第1項)。国外財産調書は、その年12月31日時点で国外財産の価額の合計額が5,000万円を超える居住者(非永住者を除く)が対象です。財産債務調書は要件が別で、①その年分の総所得金額と山林所得金額の合計額が2,000万円超で、かつ12月31日に価額の合計額3億円以上の財産または1億円以上の国外転出特例対象財産(有価証券等・未決済信用取引等)を有する場合(同法6条の2第1項)か、②所得の多寡にかかわらず12月31日に10億円以上の財産を有する居住者(同条3項)が提出します。この①の2,000万円の判定では、上場株式の譲渡益や配当など申告分離課税を選んだ所得も足して数えます(同法施行令12条の2第5項)。給与2,000万円に届かない駐在員でも、株式報酬の売却益で超えることがあるので給与だけで判定しないでください。なぜ重要か:期限内に出していれば過少申告加算税等が5%軽減され、出していなければ5%加重されます(同法6条・6条の3)。国外財産調書は不提出・虚偽記載に1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の定めもあります(同法10条)。
- 11〜12月:年末調整(会社) — 国内払い給与について実施します。なぜ重要か:国外払い給与・株式報酬は年末調整の対象外で、ここで完結しない部分が翌年の確定申告に回ります。
必要書類チェックリスト(本人/会社)
必要書類は「本人が用意するもの」と「会社(人事・経理)が用意するもの」に分けて把握すると、課税範囲の判定漏れを防げます。各書類には「なぜ必要か」を添えました。
本人が用意するもの
- □ 在留カード(在留資格・在留期間)… なぜ必要か:居住形態の判定と本人確認の基礎資料になります。
- □ マイナンバー(個人番号)… なぜ必要か:申告書・法定調書に記載が求められます。
- □ 源泉徴収票(国内給与)… なぜ必要か:国内払い給与と源泉徴収税額を確定申告に取り込む起点です。
- □ 国外払い給与の支払証明・給与明細(国外払いがある場合)… なぜ必要か:年末調整の対象外で、確定申告で申告すべき所得を特定するためです。詳細は 給与・源泉・年末調整 を参照してください。
- □ 株式報酬(RSU/SO)の付与・権利確定(ベスティング)・売却の記録… なぜ必要か:付与・権利確定・売却の各時点で課税関係が異なり、記録がないと所得計算ができません。
- □ 国外財産・国外口座の残高がわかる資料(該当者)… なぜ必要か:非永住者以外の居住者で、その年12月31日時点の国外財産の合計額が5,000万円を超える場合は、国外財産調書の提出義務が生じます(国外送金等調書法5条1項)。
- □ 各種控除証明書(保険料・寄附金・住宅ローン等)… なぜ必要か:所得控除・税額控除の適用に必要です。
会社(人事・経理)が用意するもの
- □ 給与台帳(国内払い・国外払いの内訳)… なぜ必要か:課税範囲を国内・国外で切り分ける最重要資料です。
- □ 源泉徴収簿・年末調整関係書類… なぜ必要か:源泉徴収税額の突合と、年末調整で完結した範囲の確認に使います。
- □ タックスイコライゼーション(TEQ)/グロスアップ契約の条件… なぜ必要か:会社負担税の課税要否を判定する前提になります。仕組みは グロスアップ計算 を参照してください。
- □ 赴任・帰任の発令日、在留資格変更・更新の記録… なぜ必要か:居住形態の切替日を確定し、出国時の手続要否を判断するためです。出国・帰任の税務 もあわせて確認してください。
会社(人事・経理)がやるべきこと
外国籍社員の場合、会社の年末調整だけで課税関係が完結しないケースが多い点が国内社員との最大の違いです。国外払い給与・株式報酬は年末調整の対象外のため、本人の確定申告が必要になります。期中赴任者は来日後の給与が年末調整の対象ですが、国外払い給与や株式報酬があれば別途申告が必要です。人事・経理としては、次の三点を年初の段階で押さえておくと後戻りが減ります。
- 対象者の洗い出し:早見表に照らし、確定申告が必要な社員をリスト化します。国外払い給与・RSU・期中赴任者は要注意です。
- 書類の一括手配:会社側書類(給与台帳の内訳・TEQ条件・発令日)を対象者分まとめて整えると、本人・税理士とのやり取りが一往復で済みます。
- 調書の提出:外国親会社株式報酬の調書(翌年3月31日)は失念しやすい会社側義務です。対象者がいれば期限をカレンダーに固定します。
複数の駐在員・外国籍社員を抱える場合は、判定・書類手配・調書提出をまとめて専門家に委託することで、人事の確認負担と判定ミスを大きく減らせます。全社的な体制づくりは 体制構築 でも解説しています。
よくある質問
Q. 外国人社員の確定申告は会社が代行できますか?
できません。所得税の確定申告は本人に課された義務であり(所得税法120条)、会社が本人に代わって申告書を作成・提出することはできません。税務代理・税務書類の作成は税理士でない者が業として行えないためです(税理士法52条。無償で行う場合も同じです)。会社の守備範囲は、情報提供と専門家の紹介までが基本です。当グループではご本人と直接ご契約いただく形でお引き受けしているため、企業側の取引先登録・与信審査は必要ありません。人事ご担当者は対象者をご紹介いただき、完了をご確認いただくだけで済みます。複数の駐在員をまとめてご紹介いただくことも可能です。
なお、会社が本人の申告費用を負担する場合、その負担額は原則として本人への経済的利益(給与)として課税され、源泉徴収の対象になります。対象者が役員の場合は、法人税法上の損金不算入と重なるリスクもあります。負担を検討する場合は、グロスアップや手取り保証(タックスイコライゼーション)の設計とセットで判断してください。
Q. 英語での対応はできますか?
対応可能です。ESPERANZA CONSULTING GROUP はBIG4出身の税理士を中心としたチームで、英語・中国語での確定申告サポートに対応しています。社員本人とのやり取りも外国語で完結できます。
Q. 複数名を一括で依頼できますか?費用はどのくらいですか?
複数名の一括依頼に対応しています。外国籍社員の確定申告代行は、申告内容の複雑さ(国外払い給与・株式報酬の有無など)に応じた区分制で、人数・内容により総額を個別にお見積りします。料金の詳細は確定申告代行のページをご覧ください。
Q. まず1件だけ相談したい場合は?
スポット相談をご利用いただけます。個別ケースの申告要否の確認から始められ、料金はスポット相談ページに掲載しています。
Q. 外国人社員の確定申告には、何が必要ですか?(必要書類の一覧)
本人が用意する書類は、在留カード、マイナンバー、源泉徴収票、国外払い給与の支払証明、RSU・ストックオプションの記録、国外財産の残高資料、控除証明書です。会社側で用意するのは、給与台帳、源泉徴収簿、TEQ・グロスアップ契約、赴任・帰任の発令日、在留資格変更の記録など。本文のチェックリストを社内マニュアルにそのまま使えます。
Q. 外国人社員の確定申告の期限は、いつまでですか?
令和8年分(2027年提出)の所得税の確定申告・納付は2027年2月16日から3月15日までです。納付も同じ日が期限で、遅れると延滞税・加算税の対象になります。
Q. 還付になる社員は、3月の申告期間を待つ必要がありますか?
年の途中入社で年末調整が未了の社員など、還付となる方は早期に還付を受けられます。書類が揃い次第、申告期間の開始を待たずに準備を進めるのが実務的です。具体的な時期は本文の年間期限カレンダーをご覧ください。
Q. 確定申告が必要な外国人社員を、どうやってリストアップすればよいですか?
本文の「申告要否の早見表」で、誰が・いつ・何を申告するのかを判定できます。国外払い給与やRSU等の株式報酬など年末調整で完結しない類型と、年の途中の入出国で申告が必要になり得るケースを早見表で拾い出し、年間期限カレンダーに沿って案内するのが基本の流れです。
主な根拠資料
- 申告要否と居住形態——所得税法 第2条第1項第3号〜第5号(居住者・非永住者・非居住者)・第7条第1項(課税所得の範囲)・第120条(確定申告)・第121条第1項(給与2,000万円超・給与以外20万円超)・第122条(還付等を受けるための申告)・第190条(年末調整)(e-Gov法令検索)/所得税法施行令 第14条・第15条(住所の推定)・第17条(送金課税)(同)/No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁)/No.2665 年末調整の対象となる人(同)/No.2020 確定申告(同)
- 年間カレンダーの各期限——地方税法 第317条の6第1項(給与支払報告書・1月31日)(e-Gov法令検索)/所得税法 第226条第1項(源泉徴収票・1月31日)・第228条の3の2(外国親会社等が供与した経済的利益に関する調書・翌年3月31日)(同)/相続税法 第28条第1項(贈与税の申告・2月1日〜3月15日)(同)/国税通則法 第10条第2項(期限が土日祝なら翌開庁日)・第74条(還付金の消滅時効5年)(同)
- 国外財産調書・財産債務調書——内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律 第5条第1項(国外財産調書)・第6条(加算税の5%加減算)・第6条の2第1項・第3項(財産債務調書)・第6条の3・第10条(罰則)(e-Gov法令検索)/同法施行令 第12条の2第5項(2,000万円判定に申告分離課税の所得を加算)(同)/国外財産調書制度・財産債務調書制度(国税庁)
- 会社が代行できない理由・費用負担の課税——税理士法 第52条(税理士でない者は税務代理等を業として行えない)(e-Gov法令検索)/所得税法 第36条第1項(収入金額に経済的利益を含む)(同)/法人税法 第34条(役員給与の損金不算入)(同)
本記事の条文・期限は2026年9月10日にe-Gov法令検索と国税庁の公表資料で確認し、期限の日付は2026年10月5日に令和8年分(2027年に手続する分)へ更新しました(所得税法120条1項・226条、相続税法28条1項の期間と2027年の曜日で確認)。期限が土日祝に当たる年はずれます。個別の申告要否は事実関係で変わりますので、実行前にご確認ください。
まとめ
外国籍社員・駐在員の確定申告は、①居住形態と所得で申告要否を判定し、②年間の期限を会社側・本人側で把握し、③必要書類を双方で漏れなく揃える——この3ステップで大半の実務が回ります。特に、国外払い給与・株式報酬がある社員は年末調整だけで完結せず本人の確定申告が必要になる点(期中赴任者も、国外払い給与などがあれば同様です)、そして外国親会社株式報酬の調書(翌年3月31日)・国外財産調書(翌年6月30日)といった会社側・本人側の期限が所得税の申告期限とずれる点が、実務での落とし穴になりやすい箇所です。全体像は 完全ガイド で体系的に確認できます。
▶ あわせて読みたい:年末調整の段階で回収すべき書類と、確定申告が必要になる社員の切り分けは外国籍社員の年末調整のガイドをご覧ください。
▶ あわせて読みたい:海外親会社から株式報酬を受け取っている場合に追加で必要になる資料は外国親会社の株式報酬と確定申告で解説しています。
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