人事向け:ビザと税務の関係|在留資格と納税義務の整理

人事向けコラム|在留資格と税務

ビザと税務の関係
在留資格と納税義務の整理

外国人社員の 在留資格の種類によって納税義務がどう変わるか を整理。人事担当者が押さえるべき基本知識を解説します。

読了目安:5分 | 対象:人事・総務担当者 | 監修:Esperanza税理士事務所

※本記事は、外国人社員の税務対応に関する基礎編として、人事担当者が押さえておきたい要点を解説します。

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Visa Status Does Not Equal Tax Exemption

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「在留資格があれば非課税」は誤解

「技能実習生は研修生だから税金がかからない」「留学生はアルバイトしても非課税」──このような声は決して少なくありません。

しかし、在留資格そのものに税金の免除効果はなく、日本国内で給与などの所得を得ている以上、原則として所得税や住民税の課税対象となります。例外的に一部の租税条約適用者や外交・公用ビザの保持者を除き、課税義務は在留資格の種類にかかわらず発生します。

この誤解が生じる背景には、在留資格の「活動制限」と「課税」が混同されていることがあります。在留資格は「何の活動が許可されるか」を定めるものであり、「税金がかかるかどうか」とは別の制度です。

02

Resident vs Non-Resident Classification

「居住者」と「非居住者」の違い

日本の所得税法では、個人の課税範囲を以下の居住区分で決定します。

居住者:日本に住所がある、または1年以上滞在の見込みがある人。居住者はさらに「永住者」と「非永住者」に分類されます。

非居住者:それ以外の個人(短期滞在者など)。日本国内源泉所得のみが課税対象です。

この区分は、実務的には「在留カードに記載された在留期間」や「契約書上の雇用期間」などを参考に判断されます。入国時点で在留期間が1年以上と認められれば、入国日から居住者として扱われるのが一般的です。

居住区分による税率の違い

非居住者の場合は、日本で得た給与に対して一律20.42%の源泉所得税がかかり、扶養控除などの所得控除は適用されません。年末調整の対象にもなりません。

居住者になると、日本人と同様に累進税率(5%〜45%)が適用され、各種所得控除や年末調整の対象となります。給与所得控除、基礎控除、配偶者控除なども適用可能です。

非永住者の場合は、国外源泉所得のうち日本に送金された分のみが課税対象となる「送金課税」の特則があります。

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Key Points by Visa Type

在留資格ごとに注意すべきポイント

技術・人文知識・国際業務

最も一般的な就労ビザで、正社員・契約社員として雇用されるケースがほとんどです。通常は入国時から居住者として扱われ、日本人社員と同じ税務処理(源泉徴収・年末調整)を行います。ただし、来日初年度は前年の所得が日本にないため住民税がかからない点に注意が必要です。

技能実習・特定技能

技能実習生も特定技能労働者も、日本で給与所得を得る以上は課税対象です。「研修生だから非課税」は誤りです。ただし、ベトナム・中国など一部の国とは租税条約で実習生に対する免税規定がある場合があります。適用には「租税条約に関する届出書」の提出が必要です。

留学(資格外活動許可でアルバイト)

留学生がアルバイトで得た収入も課税対象です。ただし、年間の給与収入が103万円以下であれば所得税は非課税となります(基礎控除+給与所得控除)。また、中国・韓国などとの租税条約には留学生の免税規定があり、要件を満たせば一定額まで非課税となる場合があります。

経営・管理

会社経営者として役員報酬を受ける場合、居住者として通常の累進税率で課税されます。役員報酬の設定は税額に直結するため、法人税とのバランスも含めた税務戦略が重要です。2025年の法改正で資本金要件が3,000万円に引き上げられた点も押さえておく必要があります。

高度専門職

高度人材ポイント制で認定された外国人は、来日後すぐに永住権を取得できる場合があります。税務上は居住者区分の変更(非永住者→永住者)により課税範囲が拡大するタイミングに注意が必要です。

04

Practical HR Checklist

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人事として押さえるべき実務ポイント

入社時の確認事項:在留カードの在留期間、入国日、国籍、過去の日本滞在歴を確認します。これにより居住者区分(永住者・非永住者・非居住者)を判定し、適切な税務処理を選択します。

年末調整の対象判定:12月31日時点で居住者であれば年末調整の対象となります。年度途中で入社した場合、前職の源泉徴収票がなければ自社分のみで年末調整を行います。海外での前職がある場合、その収入は年末調整の対象外です。

退職・帰国時の処理:年度途中で退職・帰国する場合は、出国日までの給与について源泉徴収を完了させます。帰国後に非居住者となる場合は、納税管理人の届出が必要です。最後の給与支払い時に必要な手続きを案内しておくことが重要です。

住民税の特別徴収:外国人社員も1月1日時点で日本に住所があれば住民税の課税対象です。前年の所得に基づいて翌年6月から課税されるため、来日1年目は住民税がかからず、帰国後に住民税の請求が届くケースがあります。

05

Tax Treaty Exemptions & Filing

租税条約による免税措置と届出

日本は約80カ国・地域と租税条約を締結しており、条約によっては特定の在留資格の外国人に免税措置が適用される場合があります。

主な免税規定の例:

  • 短期滞在者免税(183日ルール):滞在が183日以下で、海外の雇用主から給与が支払われ、日本のPEに負担されない場合
  • 学生・研修生条項:中国・ベトナム・インドネシア等との条約に規定あり。要件は国ごとに異なる
  • 教授・教師条項:大学等で教育・研究活動を行う場合、2年間の免税が認められるケースあり

これらの免税を受けるには、「租税条約に関する届出書」を給与支払者経由で税務署に提出する必要があります。届出を出さないと条約の適用が受けられず、通常通り課税されてしまうため、人事部門が入社時に確認・対応する必要があります。

06

Summary

【2026年最新】入管制度の重要変更と税務への影響

2026年は入管制度に大きな変更が相次いでいます。人事担当者はビザ手続きと税務の両面で最新情報を把握しておく必要があります。

JESTA(電子渡航認証制度)の導入決定

2026年3月の閣議決定により、日本版の電子渡航認証制度「JESTA」の導入が正式に決まりました。2028年度中の運用開始を目指しており、これまでビザ免除対象国の方が事前審査なしで入国できた仕組みが変わります。テロや不法滞在の防止が主な目的ですが、短期商用で来日する外国人社員の出張手配にも影響が出る可能性があります。

在留手続き手数料の大幅引き上げ

同じく2026年3月の改正入管法により、在留手続き手数料の上限が現行の1万円から最大30万円へ引き上げられます。具体的には、在留資格変更・期間更新の上限が10万円、永住許可の上限が30万円となります。企業が外国人社員のビザ手続き費用を負担している場合、コスト増を見込んだ予算計画が必要です。なお、経済的困難がある場合は減額・免除の規定も設けられています。

在留カードとマイナンバーカードの一体化

2026年6月14日より、在留カードとマイナンバーカードが一体化したカードの利用が開始されます。人事・経理部門では、従業員の本人確認や税務関連手続きにおいて、新しいカード形式に対応した事務フローの見直しが求められます。

育成就労制度の施行(2027年4月〜)

旧・技能実習制度に代わる「育成就労制度」が2027年4月1日に施行されます。人材育成と人材確保を目的とし、一定要件を満たせば外国人本人の意向による転籍が認められるなど、従来制度からの大きな転換です。特定技能・育成就労の受け入れ上限は5年間で約123万人と決定されており、対象企業では税務・社会保険の体制整備が急務です。

まとめ

「ビザがあるから税金はかからない」は完全な誤解です。在留資格と税務は別の制度であり、課税の有無は居住者区分によって決まります。人事担当者としては、外国人社員の入社・退職・帰国の各フェーズで適切な税務処理を行い、必要に応じて租税条約の届出を忘れないことが重要です。

判断に迷う場合は、国際税務に詳しい税理士に早めに相談することをお勧めします。

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