経営管理ビザと資本金の落とし穴|2025年改正から2026年追加改正まで

退職・帰国シリーズ ⑥

経営管理ビザと資本金の落とし穴——2025年改正から2026年追加改正まで徹底解説

2025年10月16日、経営管理ビザの要件が大幅に厳格化されました(施行済み)。既存の在留資格保持者にも2028年10月までの経過措置が設けられていますが、「資本金500万円を入れたはずなのに問題がある」——そんな見せ金リスクを抱えた企業は少なくありません。本記事では、改正の全体像と資本金をめぐる実務上の落とし穴、そして今から打てる対策を解説します。

読了目安:10分 | 対象:外国人起業家・行政書士・HR担当者 | 監修:Esperanza税理士事務所

2025年10月改正の全体像——何が変わったのか

2025年10月16日施行の改正により、経営管理ビザの取得・更新要件は以下のように大幅に厳格化されました。

項目改正前改正後
資本金要件500万円以上3,000万円以上(原則)
経営経験不問3年以上 or MBA等の学位
常勤職員不問1名以上の雇用
事業計画任意中小企業診断士等の確認が必要
経過措置2028年10月まで

この改正は、「ペーパーカンパニーによるビザ取得」を防止する目的で導入されました。特に資本金要件の引き上げは、従来の6倍となる3,000万円が求められるという点で、外国人起業家にとって最大のインパクトを持つ変更です。

経過措置の重要ポイント:改正前に経営管理ビザを取得した方は、2028年10月までは従来の基準(500万円)で更新が可能です。ただし、それまでに新基準への対応を完了させる必要があります。

「見せ金」リスクとは——資本金500万円の落とし穴

「見せ金」とは、会社設立時に一時的に500万円を払い込み、設立登記が完了した直後に引き出してしまう行為です。法的には「払込みの仮装」にあたり、会社法第52条の2により、払い込んだ者は引き出した分を会社に返還する義務を負います。

見せ金が発覚するパターン

入管局の審査では、以下の点を重点的に確認されます。

通帳の入出金履歴:設立直後に大きな出金がある場合、見せ金を疑われます
決算書の純資産:設立後1年以内に債務超過に陥っている場合、実質的な資本金がないと判断されます
事業実態の有無:売上がゼロ、事務所の実態がない場合、ペーパーカンパニーと判断されます
資金の出所:借入金で資本金を払い込み、すぐに返済した場合も見せ金とみなされます

見せ金が発覚した場合、ビザの更新が不許可となるだけでなく、在留資格の取消し(入管法第22条の4)の対象となる可能性があります。

2026年の追加改正——JESTA導入と手数料大幅引き上げ

2026年3月10日、政府は入管法改正案を閣議決定しました。経営管理ビザの保持者にも影響する重要な変更が含まれています。

JESTA(電子渡航認証制度)の創設

アメリカのESTA、ヨーロッパのETIASに類似した「JESTA(Japan Electronic System for Travel Authorization)」が創設されます。2028年度中の導入を目指しており、ビザ免除国からの入国者にも事前のオンライン認証が必要となります。経営管理ビザで活動する外国人起業家のビジネスパートナーや顧客の来日にも影響する可能性があります。

在留手続き手数料の大幅引き上げ

改正案には、在留手続きの手数料上限を現行の1万円から最大30万円に引き上げる内容が含まれています。1982年以来の大幅な改定です。

手続き現行改正後(検討中)
永住許可8,000円約20万円
在留期間更新(5年)4,000円約7万円
在留期間更新(1年)4,000円約1万円
在留資格変更4,000円約3〜5万円

経営管理ビザの更新を毎年行う場合、手数料の累計負担が大幅に増加することになります。長期的な在留コストを見積もる際には、この手数料改定を織り込む必要があります。

減免措置:経済的困難がある場合や人道的配慮が必要な場合は、手数料の減額・免除の規定が設けられる予定です。

2028年までに打つべき対策——経過措置を活用するロードマップ

改正前に経営管理ビザを取得した方は、2028年10月までの経過措置期間中に以下の対策を進めることを推奨します。

ステップ1:現状の棚卸し(今すぐ)

・資本金の実態確認:払込資本が実際に会社の事業活動に使われているか
・決算書の健全性:債務超過になっていないか、純資産がプラスか
・事業実態の整理:事務所の賃貸契約、従業員の雇用実態、売上の有無

ステップ2:資本金の積み増し計画(2026年中)

新基準の3,000万円に向けて、段階的な増資を計画します。一度に3,000万円を用意する必要はなく、事業の成長に合わせた増資戦略を立てることが重要です。増資の方法としては、第三者割当増資利益の内部留保DES(デット・エクイティ・スワップ)などが考えられます。

ステップ3:経営実績の構築(2027年末まで)

資本金だけでなく、経営経験3年以上の要件も満たす必要があります。改正施行日(2025年10月)から起算して3年間の経営実績を積み上げることで、2028年10月の経過措置終了時点で要件を満たせる可能性があります。

ステップ4:専門家による事業計画の策定(2028年前半)

新基準では、中小企業診断士等の専門家による事業計画の確認が求められます。更新申請の6ヶ月前までには、専門家と連携して事業計画を策定・確認を完了させましょう。

よくある質問

Q. 経過措置中に資本金3,000万円を用意できない場合はどうなりますか?

A. 2028年10月以降の更新審査では新基準が適用されるため、資本金要件を満たさない場合は更新不許可となるリスクがあります。ただし、資本金以外の要件(経営経験、事業規模、雇用実績など)を総合的に評価される可能性もあるため、早めに入管専門の行政書士や弁護士に相談することをお勧めします。

Q. 既に500万円で設立していますが、見せ金ではありません。証明方法は?

A. 設立時の払込証明書、設立後の通帳履歴、決算書における純資産の推移を時系列で整理しておくことが重要です。資本金が事業活動に実質的に使われていることを示せれば問題ありません。

Q. 手数料引き上げはいつから適用されますか?

A. 2026年度内(2027年3月まで)の適用が予定されていますが、具体的な施行日は政令で定められます。最新の情報は出入国在留管理庁のウェブサイトでご確認ください。

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