外国人社員の就労ビザ・在留資格認定証明書(COE)完全ガイド【2026年版】|採用から入社・更新まで企業側の手続き

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外国人社員の就労ビザ・在留資格認定証明書(COE)完全ガイド【2026年版】|採用から入社・更新まで企業側の手続き

外国人社員の採用が決まったとき、人事担当者が最初に向き合うのが在留資格——いわゆる就労ビザ——の手続きです。海外から呼び寄せる際の在留資格認定証明書(COE)、技術・人文知識・国際業務の要件、雇入れ時の確認義務と届出、更新・転職時の対応まで、外国人社員を受け入れる企業側の視点で、行政書士がまとめた基礎ガイドです。制度変更のたびに本ページを更新します。

最終更新日:2026年8月1日

01就労ビザとは——在留資格の全体地図と3分類

「就労ビザ」は法令上の正式な用語ではありません。外国人が日本に中長期滞在して活動するための資格は「在留資格」と呼ばれ、本記事では便宜上、このうち就労が認められる在留資格を「就労ビザ」と呼びます。

厳密には「ビザ(査証)」と「在留資格」も別の制度です。査証は海外の日本大使館・領事館が発給する入国のための証明で、在留資格は日本に在留して活動するための法的な資格です。人事実務では「就労ビザの手続き」とまとめて呼ばれることが多いものの、この区別を押さえておくと、後述する在留資格認定証明書(COE)の位置づけが理解しやすくなります。

ビザ(査証)と在留資格の違いの図解
図1:「ビザ(査証)」と「在留資格」の違い——「就労ビザ」は就労が認められる在留資格の便宜的な呼び方

採用実務の観点では、在留資格を次の3グループに分けて捉えるのが実用的です。

区分 主な在留資格 就労の可否
就労系(活動に基づく) 技術・人文知識・国際業務、特定技能、高度専門職、経営・管理、企業内転勤、介護、技能 など 在留資格ごとに定められた範囲の業務のみ就労可
身分系(身分・地位に基づく) 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者 活動制限なし。職種を問わず就労可
原則就労不可 留学、家族滞在 など 資格外活動許可を受けた範囲でのみ可(留学は原則週28時間以内)

人事担当者が押さえるべきポイントは2つです。第一に、身分系の在留資格を持つ人は職種を問わず雇用できるため、会社側の在留資格手続きは在留期限の把握と後述の届出程度で足ります。第二に、就労系の在留資格では「その資格で認められた範囲の業務」しか行えないため、採用予定の職務内容が本人の在留資格に適合するかの確認が、会社側の最初の仕事になります。この確認を誤ると、後述する不法就労助長のリスクに直結します。

02採用から入社まで——COEルートと変更ルート

外国人採用の在留資格手続きは、候補者が「どこにいて、どの在留資格を持っているか」で大きく3パターンに分かれます。

パターンA:海外在住者を呼び寄せる(COEルート)

雇用契約の締結
職務内容・報酬を確定。この段階で在留資格の該当性を検討します。
COE交付申請
受入れ企業側が主導して地方出入国在留管理局へ申請。標準処理期間は1〜3ヶ月(2026年7月時点)。
査証(ビザ)申請
交付されたCOEを本人へ送付(電子交付可)。現地の日本大使館・領事館で査証を申請します。
入国・就労開始
上陸許可により在留資格を取得し、在留カードの交付を受けて入社します。

COE交付申請は、海外にいる本人に代わって受入れ企業の職員が代理人として手続きできるため、実務では会社主導で進めるのが一般的です。詳細は次章で解説します。

パターンB:国内在住の外国人を採用する(変更ルート)

留学生の新卒採用が典型です。「留学」から「技術・人文知識・国際業務」等への在留資格変更許可申請を行い、許可を受けてから就労を開始します。卒業見込みの段階から申請の準備ができますが、審査には一定の期間がかかるため、入社日から逆算した早めの着手が重要です。許可前に働き始めることはできません。

パターンC:同種の職務での転職者を採用する

すでに技人国などの就労資格を持つ人を、同じ範囲の業務で採用する場合、在留資格の変更申請は不要です。ただし本人による届出義務や、業務適合性の確認(就労資格証明書)といった実務上の注意点があります(第7章で解説します)。

なお、海外からの呼び寄せでは渡航費や住居の初期費用などを会社が負担するケースが多く、その取扱いは給与課税の論点になります。オファー条件を設計する段階で外国籍従業員の会社負担・手当の税務もあわせて確認しておくと、入社後の手戻りを防げます。

03在留資格認定証明書(COE)の実務

在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility。本記事では便宜上「COE」と呼びます)は、日本に入国しようとする外国人が行う予定の活動が上陸のための条件(在留資格該当性・上陸許可基準への適合性など)に適合していることを、入国前に法務大臣が証明する文書です。査証申請や上陸審査の際にCOEを提示することで、審査が円滑に進みます。海外から人材を呼び寄せる実務はこのCOEを軸に回るため、人事担当者が押さえるべき要点を4つに整理します。

雇用契約からCOE申請・交付・査証申請・入国・入社までの流れと期間の図解
図2:COEルートの全体フロー——標準処理期間は1〜3ヶ月、COEの有効期間は交付から原則3ヶ月(2026年7月時点)

① 申請は受入れ企業が主導できる

申請人は外国人本人ですが、受入れ機関(企業)の職員が代理人として申請できます。申請先は受入れ企業の所在地を管轄する地方出入国在留管理局で、在留申請オンラインシステムによるオンライン申請も利用できます。雇用契約書・会社の登記事項証明書・決算文書・雇用理由書など、必要書類の多くは会社側で準備するものです。

② 標準処理期間は1〜3ヶ月

COE交付申請の標準処理期間は1〜3ヶ月とされています(2026年7月時点)。申請の時期(4月入社前などの繁忙期)や案件の内容によって変動するため、入社予定日に対して余裕のあるスケジュールを組む必要があります。

③ 有効期間は交付から原則3ヶ月

交付されたCOEの有効期間は原則3ヶ月で、その期間内に査証申請を経て上陸申請(入国)まで進む必要があります。「交付されてから入社日を決める」のではなく、入社予定日から逆算して申請時期を設計するのが実務の基本です。

④ 2023年から電子化——メールで受け取れる

2023年3月17日から、COEは電子メールによる電子交付を受けられるようになりました。従来は紙の証明書を国際郵便で本人へ送る必要がありましたが、電子COEであれば、受け取った本人がスマートフォンの画面表示で査証申請・上陸審査時に提示できます。海外への郵送日数とコスト、紛失リスクを減らせるため、特段の事情がなければ電子交付の利用を検討する価値があります。

注意点として、COEの交付は査証の発給や上陸許可を約束するものではありません。また、交付後に職務内容の変更や内定辞退など前提が変わった場合には、そのまま使用することはできません。

04技術・人文知識・国際業務(技人国)の要件

企業の外国人採用で最も広く使われている就労系在留資格が「技術・人文知識・国際業務」です(本記事では便宜上「技人国」と略します)。エンジニア、企画・営業・経理などの事務系職種、通訳・翻訳や海外取引業務といった、いわゆるホワイトカラー職種の採用では、まずこの資格の該当性を検討することになります。対象となる業務は次の3類型です。

  • 技術:理学・工学など自然科学の分野の技術・知識を要する業務(システムエンジニア、機械設計など)
  • 人文知識:法律学・経済学・社会学など人文科学の分野の知識を要する業務(企画、営業、マーケティング、経理、人事など)
  • 国際業務:外国の文化に基盤を有する思考・感受性を要する業務(翻訳・通訳、語学指導、海外取引業務、デザインなど)

要件①:学歴または実務経験

「技術」「人文知識」の類型では、従事する業務に必要な技術・知識に関連する科目を専攻して大学を卒業していること(短期大学・大学院を含み、海外の大学も対象。高等専門学校も大学に準じて判断されます)、または日本の専修学校の専門課程等を修了して専門士・高度専門士の称号を得ていることが基本ルートです。これを満たさない場合は、実務経験10年以上で代替できます(大学等で関連科目を専攻した期間も算入されます)。

一方、「国際業務」の類型には学歴による代替ルートがありません。翻訳・通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引業務、服飾・室内装飾に係るデザイン、商品開発等の業務であることに加えて、関連する業務の実務経験3年以上が必要です。ただし、大学を卒業した人が翻訳・通訳・語学の指導に従事する場合は、実務経験を要しません。

なお、「技能実習」「特定技能」で積んだ経験は、ここでいう実務経験としては扱われません。

出典:出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」(最終改定 令和8年4月)

要件②:日本人と同等額以上の報酬

報酬は「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上」であることが要件です。同じ会社で同種の業務に従事する日本人社員との均衡で判断されるため、外国人であることを理由に給与水準を下げる設計は認められません。

要件③:職務内容と経歴の関連性・業務の該当性

専攻科目・職歴と、実際に従事する職務内容との関連性が審査されます。また、技人国は学術上の素養を背景とする業務のための資格であるため、工場ラインでの単純作業や接客・レジ打ちといった現場業務を主たる職務とすることはできません。この「職務内容の該当性」が、採用実務で最もつまずきやすいポイントです。

要件④:言語能力を用いる対人業務は「CEFR B2相当」が前提(2026年4月15日〜)

翻訳・通訳や、ホテルフロント業務等の接客のように、主に言語能力を用いる対人業務に従事する場合は、本人がその業務で使う言語についてCEFR・B2相当の能力を有していることが前提とされ、これを満たさない場合は「一定水準以上の業務」に従事するとは認められません。日本語であれば、日本語能力試験N2以上、BJTビジネス日本語能力テスト400点以上、日本の大学卒業(高等専門学校・専修学校の専門課程等の修了を含み、専攻科目と業務内容の関連性が前提)、中長期在留者として20年以上の在留、日本の義務教育修了+高校卒業のいずれかがB2相当と評価されます。日本語以外の言語では、母国語・公用語であること等が評価対象です。

2026年4月15日以降の申請では、受入れ企業がカテゴリー3・4に該当する場合、これを証する資料の提出が必要です(カテゴリー1・2でも審査の過程で求められることがあります)。在留中の社員でも、業務内容の変更や転職で言語能力を用いる対人業務が主となった場合は、次回の更新申請時に提出が必要になります。

出典:出入国在留管理庁「翻訳・通訳業務等の言語能力を用いる対人業務に従事する場合の在留資格の明確化について」(別紙4)

入社当初の実務研修の扱い

新卒採用などで、キャリアパスの一環として入社当初に現場研修(店舗・工場等での実習)を行う場合、在留期間全体から見て合理的な範囲であれば認められる余地があります。出入国在留管理庁のガイドラインで考え方が示されており、研修計画を申請時に示して説明するのが望ましい実務です。

会社の規模で提出書類が変わる(カテゴリー制)

技人国の申請では、受入れ企業がカテゴリー1(上場企業等)、カテゴリー2(前年の給与所得の源泉徴収税額1,000万円以上等)、カテゴリー3(同1,000万円未満で法定調書合計表を提出済み)、カテゴリー4(それ以外・新設会社等)に区分され、カテゴリー1・2では提出書類が大幅に簡素化されます。もっとも、書類が少なくて済むのは立証負担の話であり、職務内容の該当性や報酬の同等性といった審査の観点自体は変わりません。

また、2026年4月15日以降の申請から、カテゴリー3・4では「所属機関の代表者に関する申告書」(参考様式)の提出が追加されています(在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請のいずれも対象)。

出典:出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」お知らせ

技人国の3類型と学歴・報酬・関連性の要件、カテゴリー制の図解
図3:技人国の3類型と主な要件——カテゴリー1・2は提出書類が簡素化

05技人国以外の就労系在留資格の概観

採用する職務や人材によっては、技人国以外の在留資格が選択肢になります。主なものを概観します(2026年8月時点)。

特定技能——現場業務を担える対象分野

人手不足分野での受入れのために創設された在留資格です。出入国在留管理庁「分野別情報」によれば、2026年6月1日現在で受入れが可能なのは17分野(介護、建設、農業、飲食料品製造業、外食業、ビルクリーニング、リネンサプライほか)です。2024年に自動車運送業・鉄道・林業・木材産業が、2026年にリネンサプライが加わりました。さらに2026年1月23日の閣議決定で物流倉庫・資源循環の追加が決まり、受入れ開始に向けた告示等の整備が進んでいます(2026年8月時点)。技人国では認められない現場業務に従事できる点が特徴で、分野ごとの技能試験・日本語試験の合格などが前提となります。受入れ企業(特定技能所属機関)には、1号特定技能外国人に対する支援計画の策定・実施や定期的な届出など固有の義務が課されるため、技人国とは別の管理体制が必要です。

出典:出入国在留管理庁「特定技能 分野別情報」(2026年6月1日現在)

高度専門職——ポイント制の優遇資格

学歴・職歴・年収などをポイント化し、基準点に達した高度人材に付与される在留資格です。在留期間「5年」の付与、複合的な活動の許容、永住許可要件の緩和などの優遇措置が設けられており、給与水準の高い専門人材の採用では技人国と並べて検討する価値があります。

企業内転勤——海外拠点からの異動

海外の本店・支店・関連会社から日本の拠点へ転勤する社員のための在留資格です。業務範囲は技人国と同様ですが、転勤直前に海外の関連拠点で継続して1年以上勤務していることが必要で、その場合は本人の学歴が問われない点が特徴です。グループ内異動では、技人国と企業内転勤のどちらのルートが適切かを比較して選ぶことになります。

経営・管理——役員・経営層の受け入れ

日本法人の経営者・管理者として活動するための在留資格です。2025年10月16日施行の改正で、資本金3,000万円以上・常勤職員1名以上・日本語要件・経営経験または学歴・事業計画の専門家確認・独立した事業所という新基準へと大幅に厳格化されました。既存の在留者には2028年10月16日までの申請に経過措置があり、新基準に適合しない場合でも経営状況等を踏まえた総合判断となります。外資系企業の日本法人設立や役員派遣を伴う場合は、経営・管理ビザ完全ガイドで最新要件をご確認ください。

そのほかの就労系資格

外国料理の調理師などの「技能」、介護福祉士資格者のための「介護」、大学教員のための「教授」など、職種に応じた在留資格が定められています。どの在留資格にも該当しない職務は就労系の資格では受け入れられないため、採用計画の段階で該当性を確認しておくことが肝心です。

06企業側の義務——雇入れ時の確認と届出

外国人雇用では、在留資格の申請手続きだけでなく、会社側に課される確認・届出の義務を押さえておく必要があります。

① 在留カードの確認——雇入れ前の必須チェック

なお、2026年6月14日から、マイナンバーカードと一体化した「特定在留カード」の運用が始まりました。取得は任意で、現行様式の在留カードも引き続き有効なため、当面は現行様式・新様式・特定在留カードが併存します。様式が違っても確認すべき項目は同じですが、社内の本人確認マニュアルは様式の違いを前提に見直しておくと安全です。

雇入れ前に、在留カードの原本で次の3点を確認します。

  • 在留資格と在留期間:期限が切れていないか、予定している職務がその在留資格で認められる範囲か
  • 就労制限の有無:「就労制限なし」(身分系)か、「在留資格に基づく就労活動のみ可」か、「就労不可」か
  • 資格外活動許可:「就労不可」(留学・家族滞在など)の場合は、カード裏面の資格外活動許可欄を確認。留学生のアルバイトは原則週28時間以内(長期休業期間中は1日8時間以内)です

あわせて、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等番号失効情報照会」で、提示されたカードの番号が失効していないかを照会できます。偽造カード対策として、原本確認とセットで行うのが望ましい運用です。

不法就労助長は刑事罰の対象です。在留資格で認められない業務に従事させた場合や、在留期限が切れた人を働かせた場合、雇用主側も不法就労助長罪として刑事罰の対象になり得ます。不法就労にあたることを知らなかった場合でも、在留カードの確認を怠るなど過失があるときは責任を免れないとされています。

② 外国人雇用状況の届出——雇入れ・離職のたびに必要

外国人(特別永住者、在留資格「外交」「公用」の人を除きます)を雇い入れたとき・離職したときは、氏名・在留資格・在留期間等をハローワークへ届け出ることが、労働施策総合推進法によりすべての事業主に義務付けられています。雇用保険の被保険者となる場合は資格取得届・喪失届に記載して届け出(雇入れは翌月10日まで、離職は翌日から起算して10日以内)、被保険者とならない場合は専用の様式で届け出ます(雇入れ・離職とも翌月末日まで)。届出を怠ったり虚偽の届出をしたりした場合は、30万円以下の罰金の対象となり得ます。

出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」

③ 入管への「中長期在留者の受入れに関する届出」(努力義務)

ハローワークへの届出とは別に、就労資格(「芸術」「宗教」「報道」「技能実習」「特定技能」を除きます)を持つ外国人を雇用したとき・雇用を終了したときは、事業主が出入国在留管理庁へ「中長期在留者の受入れに関する届出」を提出するよう努めることとされています(努力義務であり、罰則を伴う義務ではありません)。ハローワークへの届出を行っている場合は省略できる取扱いもあるため、自社がどちらの届出を要するかを整理しておくと運用が安定します。

出典:出入国在留管理庁「中長期在留者の受入れに関する届出」

④ 本人が行う届出のフォロー

技人国などの就労資格を持つ本人には、契約機関(勤務先)の名称変更・消滅・契約終了・新契約締結があった日から14日以内に出入国在留管理庁へ届け出る義務があります(所属(契約)機関に関する届出)。義務を負うのは本人ですが、届出漏れは本人の次回更新や永住許可申請で不利に働き得るため、入社時・退職時に会社側からアナウンスするのが望ましい運用です。

雇入れ前の在留カード確認、外国人雇用状況の届出、本人届出フォローの図解
図4:雇入れ前の在留カード確認と雇入れ・離職時の届出——不法就労助長は刑事罰の対象

⑤ 入社後の給与・税務の実務

入社後は、居住者・非居住者の判定、源泉徴収、年末調整、租税条約の適用など、外国人雇用に特有の給与実務が始まります。実務の詳細は外国籍社員の給与・源泉徴収・年末調整の解説にまとめています。

07更新・転職・退職時の手続き

在留期間更新——満了の3ヶ月前から準備する

在留期間更新許可申請は、原則として在留期間満了日の3ヶ月前から受け付けられます。満了日までに申請すれば、審査中に満了日を過ぎても、処分が出る時または満了日から2ヶ月を経過する日のいずれか早い時までは適法に在留できる特例期間の仕組みがありますが、特例期間中の海外出張には再入国面のリスクがあるなど運用上の注意点も多いため、余裕を持った申請が原則です。

在留期間満了日の3ヶ月前からの申請可能期間と特例期間の図解
図5:在留期間更新のタイムライン——満了日の3ヶ月前から申請でき、満了日までの申請で特例期間が働く

更新の主な必要書類は、申請書・写真・パスポートと在留カードの提示に加えて、企業のカテゴリーに応じた資料です。技人国のカテゴリー1・2では追加資料が原則不要とされる一方、カテゴリー3・4では住民税の課税証明書・納税証明書や、業務内容・決算状況を示す資料などが求められます。更新審査では在留中の活動状況とあわせて納税・社会保険・届出義務の履行状況が確認され、住民税の未納や無申告が支障になるケースは実務上少なくありません。更新前のセルフチェックにはビザ更新と税務の関係の解説が役立ちます。

転職者の受け入れ——「同じ在留資格だから何もしない」は危ない

技人国を持つ人が同種の業務へ転職する場合、在留資格の変更申請は不要です。ただし次の2点を押さえてください。

  • 本人の届出:前述のとおり、契約機関の変更(前職の契約終了・新契約の締結)から14日以内の届出義務は本人にあります
  • 業務適合性の確認:転職後の職務が在留資格の範囲内かを会社側でも検討し、疑義があれば就労資格証明書交付申請により出入国在留管理庁の確認を受けられます

就労資格証明書の取得は義務ではありませんが、転職後の業務内容で就労できることを事前に確認できるため、次回の更新時に「実は在留資格の範囲外の業務だった」と判明するリスクを抑えられます。前職と職務内容が異なる場合や、専攻との関連性に不安がある場合には取得を検討する価値があります。

退職・帰国時の対応

外国人社員が退職して帰国する場合は、住民税の一括徴収や納税管理人、源泉徴収、脱退一時金など、税務・社会保険側の手続きが多く発生します。詳細は外国人駐在員・社員の帰任/退職時の税務の解説を参照してください。

08よくある不許可パターン

入管の審査は、申請側が要件への適合を資料で立証する仕組みです。疎明が不足していれば不許可の方向に働くため、「要件を満たしているのに落ちた」と見えるケースの多くは、実際には立証の設計に原因があります。就労系の申請で実務上よく見られるパターンは次のとおりです。

  • 職務内容の該当性不足:業務の実態が単純作業・現場業務中心と判断される(技人国で典型的な不許可類型)
  • 専攻・経歴との関連性不足:本人の専攻科目や職歴と、従事予定の職務との結び付きを説明できていない
  • 報酬の同等性への疑義:同種の業務に従事する日本人社員より低い給与設定になっている
  • 会社側の安定性・継続性への疑義:新設会社や業績不振で、事業と雇用を継続できることを示す資料が不足している
  • 雇用の必要性への疑義:会社の規模・業務量に対して採用人数が多いなど、雇用計画の説明が不自然
  • 申請書類間の矛盾:雇用契約書・雇用理由書・本人の経歴書などの記載に食い違いがある
  • 本人の在留状況の不良:留学時の資格外活動の超過(週28時間超)や届出義務違反などの前歴

重要なのは、これらの多くが「要件を満たしていない」のではなく「満たしていることを書面で示せていない」ことに起因する点です。雇用理由書で職務内容と経歴の対応関係を具体的に記述する、組織図や研修計画で職務の実在性を示すなど、立証の設計次第で結果が変わり得る領域です。また、一度不許可になるとその記録を前提に審査されるため、再申請では不許可理由を踏まえた追加の説明が必要になります。初回申請の設計が肝心です。

09専門家に依頼するメリット

就労ビザの申請代行(正確には申請書類の作成と申請の取次ぎ)は、申請取次の届出をした行政書士などに依頼できます。企業側から見た依頼のメリットは主に3つです。

  • 出頭負担の軽減:申請取次行政書士が申請を取り次ぐ場合、本人が地方出入国在留管理局へ出頭する負担が原則不要になります
  • 立証の設計:前章の不許可パターンを踏まえ、雇用理由書・職務内容の記述・疎明資料を審査の視点から設計できます
  • スケジュールと期限の管理:入社日から逆算した申請時期の設計、社員ごとの在留期限・更新・届出の管理を仕組み化できます

ただし、専門家に依頼しても許可が約束されるわけではありません。判断が分かれ得る案件でリスクと対策をセットで説明してくれるか、万一の不許可時に理由の確認と再申請方針まで示してくれるかが、依頼先を見極めるポイントです。

また、外国人雇用は在留資格だけでは完結しません。給与・源泉徴収・社会保険・年末調整、場合によっては本人の確定申告まで、税務・労務の実務が続きます。ESPERANZA CONSULTING GROUPは公認会計士・税理士・行政書士が在籍し、在留資格の申請から採用後の税務までを一体で支援しています。人事部門での受け入れ体制づくりの考え方は外国籍従業員の受け入れ体制構築の解説でも整理しています。

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10よくある質問(FAQ)

Q. 在留資格認定証明書(COE)とは何ですか?「ビザ」とは違うのですか?

COEは、外国人が日本で行う予定の活動が上陸のための条件に適合していることを、入国前に法務大臣が証明する文書です。一方、ビザ(査証)は海外の日本大使館・領事館が発給する入国のための証明で、両者は別の手続きです。海外採用では、COEの交付を受けてから査証を申請するのが標準的な流れで、COEの有効期間は原則3ヶ月、標準処理期間は1〜3ヶ月です(2026年7月時点)。

Q. COEの申請から入社まで、どのくらいの期間を見込めばよいですか?

標準処理期間が1〜3ヶ月で、その前の書類準備、その後の査証申請・渡航準備も必要になるため、内定から入社までおおむね3〜6ヶ月程度を見込み、入社予定日から逆算して早めに動くのが実務的です。申請の繁忙期や案件の内容によって前後します。

Q. 留学生を新卒採用する場合、会社は何をすればよいですか?

本人が「留学」から技人国等への在留資格変更許可申請を行う必要があり、会社側は雇用契約書・登記事項証明書・決算文書・雇用理由書などの企業側書類を準備して申請を支援します。変更許可前に働き始めることはできないため、入社日と審査期間の調整が重要です。また、在学中のアルバイトが資格外活動許可の範囲(原則週28時間以内)を超えていた場合、変更審査で不利に働くことがあります。

Q. 外国人社員の家族も日本に呼べますか?

技人国などの就労資格を持つ社員に扶養される配偶者・子は、「家族滞在」の在留資格で呼び寄せられる場合があります。家族滞在は原則として就労できず、資格外活動許可を受けた範囲内でのみアルバイト等が可能です。扶養に入れる場合の税・社会保険の取扱いは別途の確認が必要です。

Q. 技人国を持つ転職者を採用する場合、ビザの手続きは不要ですか?

同種の業務であれば在留資格の変更申請は不要です。ただし、本人には契約機関に関する届出(14日以内)の義務があり、会社には外国人雇用状況の届出(ハローワーク)の義務があります。前職と職務内容が異なる場合は、就労資格証明書交付申請で新しい職務が在留資格の範囲内であることを確認しておくと、次回更新時のリスクを抑えられます。

11まとめ

外国人社員の受け入れは、①採用予定の職務と在留資格の適合確認、②ルートの見極め(海外からのCOE・国内での変更・転職者の届出)、③雇入れ時の在留カード確認と外国人雇用状況の届出、④入社後の更新・届出・期限管理——という流れで整理すると全体像を見失いません。入管の審査は立証が不足すれば不許可の方向に傾く仕組みであり、雇用理由書や疎明資料の設計が結果を左右します。そして在留資格の手続きが済んでも、給与・源泉徴収・年末調整・確定申告といった税務の実務が続きます。制度変更(特定技能の分野追加、経営・管理の新基準、COEの電子化など)は今後も見込まれるため、本ページは改正のたびに最新化していきます。個別の申請設計や社内体制づくりについては、ページ内のサポート窓口からご相談ください。

山口 淳也

この記事の監修

公認会計士・税理士・行政書士 山口 淳也/ ESPERANZA CONSULTING GROUP 代表

日本および海外のBIG4監査法人・税理士法人・FAS(ファイナンシャルアドバイザリー)にて、クロスボーダー税務・M&A・海外進出支援・国家プロジェクトなどの実務に従事。セミナー登壇多数。税務・会計・法務の専門的観点から、企業のグローバル展開や経営課題を多面的にサポート。