外国人起業家②経営・管理ビザ取得に必要な条件とは

外国人起業家シリーズ ② | ビザ・起業・経営の基礎知識

経営・管理ビザ取得に必要な条件とは

資本金要件・事業計画・審査のポイントを実務経験から解説

01経営・管理ビザ取得の実務と戦略

要件カテゴリ現行(〜2025)2025年10月改正後(厳格化)
資本金または出資額500万円以上3,000万円以上(約6倍)
雇用要件資本金500万円「または」常勤2名以上資本金3,000万円「かつ」常勤雇用1名以上
事業所日本国内に独立した事業所を確保(バーチャル単体は不可)
事業の安定性3年分の収支予測・継続性の根拠を示すこと
申請者の地位経営・管理に主体的に従事すること(役員就任・業務執行)
適法性許認可業種は別途取得が前提(VOL 3 参照)
例外措置高度人材確保等の代替要件を検討中(パブコメ反映待ち)
⚠ 2025年10月改正の重要ポイント:従来は「500万円または常勤2名」のいずれかでOKだったが、2025年10月改正後は「3,000万円かつ常勤1名以上」が原則。資本金ハードルが大幅に上昇し、外国人起業家の参入障壁が高まる見通し。速報記事はこちら

経営管理ビザの基本要件は次の通り。2025年10月改正で資本金要件が500万円→3,000万円へ大幅厳格化。常勤雇用も併せて求められる方向です(本シリーズの経営管理ビザシリーズで詳説)。

2025年10月改正後の主な要件(最新)

項目要件
事業の実体独立した事務所(バーチャル不可)/法人登記が完了
資本金500万円以上(または常勤職員2名以上の雇用)
事業の継続性3年以上の事業計画/収支見通し
経営者の能力事業に必要な経歴・専門性
適法性業種に応じた許認可を取得済

資本金の調達方法

  • 自己資金:通帳の写しで原資の説明が必要
  • 親族からの送金・贈与:贈与契約書や送金記録を準備
  • 共同出資者からの出資:株主間契約書の整備が必要
  • 融資:日本政策金融公庫の創業融資など。ビザ取得前は審査ハードル高め

資金の出所と入金経路の透明性が審査で問われます。「見せ金」と判断されないよう、入金後すぐに引き出さないことが重要。

02経営・管理ビザとは何か

経営・管理ビザは、外国人が日本で事業を経営したり管理業務に従事したりするための在留資格です。かつては外国からの投資が前提の「投資・経営ビザ」と呼ばれていましたが、2015年の入管法改正により外国資本がなくても申請できるよう要件が緩和され、名称も「経営・管理」に変更されました。

このビザを取得すれば、日本国内で新規事業の立ち上げ・経営や、既存事業への参画・管理業務への従事などが可能になります。

在留期間(5年・3年・1年・6か月・4か月・3か月)

期間付与される典型ケース
5年・3年事業実績が積み上がった更新時
1年・6か月起業直後の初回申請で多い
4か月特例:会社設立準備中の段階で申請可能
3か月短期事業者向け(実務上はまれ)

会社設立先行の原則と4か月ビザの特例

経営管理ビザを本格的に申請するためには、まず日本での会社設立登記を済ませておくことが基本です。法人の登記が完了していない段階では、本来ビザ申請に必要な登記事項証明書(登記簿謄本)を提出できず、十分な事業実体を示すことが難しいためです。

しかし2015年の法改正で4か月ビザ(特例制度)が創設され、会社設立準備中でも申請可能になりました。来日後すぐに会社設立手続きを進めるための準備期間という位置づけです。

03経営管理ビザの取得要件

要件カテゴリ具体要件満たすための実務
事業所独立した事業所を日本国内に確保賃貸契約書/看板/占有スペース確認
事業規模①常勤2名以上の雇用、または雇用契約書・社保加入記録の準備
事業規模②資本金または出資額500万円以上払込証明書・通帳コピー必須
事業の安定性事業計画の継続性・収益見込み3年分の事業計画書・収支予測
申請者の地位経営・管理に主体的に従事役員就任・業務執行の記録
適法性許認可業種は別途取得が前提VOL 3 参照、許認可と並行手配

経営管理ビザの基本要件は次の通り。2025年10月改正で資本金要件が500万円→3,000万円へ大幅厳格化。常勤雇用も併せて求められる方向です(本シリーズの経営管理ビザシリーズで詳説)。

現行の主な要件

項目要件
事業の実体独立した事務所(バーチャル不可)/法人登記が完了
資本金500万円以上(または常勤職員2名以上の雇用)
事業の継続性3年以上の事業計画/収支見通し
経営者の能力事業に必要な経歴・専門性
適法性業種に応じた許認可を取得済

資本金の調達方法

  • 自己資金:通帳の写しで原資の説明が必要
  • 親族からの送金・贈与:贈与契約書や送金記録を準備
  • 共同出資者からの出資:株主間契約書の整備が必要
  • 融資:日本政策金融公庫の創業融資など。ビザ取得前は審査ハードル高め

資金の出所と入金経路の透明性が審査で問われます。「見せ金」と判断されないよう、入金後すぐに引き出さないことが重要。

04申請に必要な主な書類

📋 申請書・申請者情報

  • 在留資格変更/在留資格認定証明書交付申請書
  • パスポート・在留カード写し
  • 履歴書・職務経歴書
  • 顔写真(4×3cm)

🏢 会社・事業所関係

  • 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
  • 定款の写し
  • 事業所の賃貸借契約書・写真
  • 会社のパンフレット・WEBサイト

💰 財務・資本金関係

  • 資本金払込証明書
  • 通帳コピー(資金の出所説明)
  • 決算書・確定申告書(既設の場合)
  • 給与支払事務所等の開設届出書

📊 事業計画関係

  • 事業計画書(3年分の収支予測)
  • 取引予定先一覧・契約書写し
  • 業務委託契約書・雇用契約書
  • 役員報酬・給与の説明資料
分類書類
申請書在留資格認定証明書交付申請書/写真
会社情報登記事項証明書/定款/株主名簿
事務所賃貸借契約書/不動産登記簿/写真
事業内容事業計画書(3年分の収支見通し含む)
資本金資本金払込証明書/預金通帳写し
申請人履歴書/学歴・職歴を証明する書類
取引取引先との契約書/注文書/見積書

外国語書類は日本語訳の添付が必要です。事業計画書は審査の最重要書類なので、専門家との作成を強く推奨します。

05審査のポイント:「継続性」と「信頼性」

PILLAR 01
継続性
事業が単年で終わらず、3年〜中長期で収益を生み続ける構造があるか。事業計画の数値根拠が問われる。
PILLAR 02
信頼性
資金の出所・取引先・経営者の経歴に怪しい点がないか。書類間の整合性も重要。
PILLAR 03
事業実態
単なる住所貸し・名義借りではなく、実際に経営・管理を行う実態があるか。バーチャル単体は不利。

審査は「事業の継続性」「経営者としての信頼性」の2軸で見られます。

観点具体的なチェック項目
継続性収支計画の現実性/市場分析/競合分析/資金調達計画
信頼性経歴/専門性/取引先の信用/事業実体
事務所事業に適した設備/専有性/立地
資本金の説明資金源/送金経路の明確性

06許可率と最近の傾向

📰 高市政権下の最新動向(2025年10月発足以降)
2025年10月の高市早苗内閣発足と経営・管理ビザ要件改正がほぼ同時期に重なり、出入国在留管理庁は「適正化」を旗印に厳格化路線へ舵を切りました。改正の核は ①資本金500万円→3,000万円②常勤雇用1名以上を必須化③経営・管理の実務経験3年以上④日本語能力(B2相当・JLPT N2以上)必須 の4点。既存ビザ保持者は経過措置の対象ですが、新規申請からは新基準が即適用されています。
3,000万円
2025年10月改正後の資本金要件
従来500万円から6倍/新規申請は新基準、既存ビザは経過措置
厳格化
新規申請の審査トレンド
事業実態・継続性・日本語能力までチェック/
新規申請の不許可が急増
3〜5ヶ月
実態の処理期間
改正初年度はさらに延びる見込み

改正前まで 新規申請の許可率は概ね6〜7割 で推移していましたが、改正後は資本金・雇用・経営経験・日本語の4要件を同時に満たす必要があり、新規申請の許可率は大きく低下する見込みです。書類不備・事業実態不足・資本金の出所説明不足に加え、形式的な経営者像(特に日本語不能・ペーパー雇用)の排除が顕著です。

最近の主な傾向

  • 事業計画書の質を重視:単なる収支表ではなく、市場分析・差別化要素・実現可能性の論理的説明が必要
  • 事務所要件の厳格化:シェアオフィス・バーチャルオフィスでの申請は不許可率が上昇
  • 資本金の出所説明:「見せ金」と判断されると即不許可
  • 更新時の事業実績:初回1年ビザの更新で売上ゼロは厳しい審査
  • 2025年10月改正の施行と影響:資本金3,000万円・常勤1名・経営経験3年・日本語A2 の4要件が同時要求
  • 日本語能力要件(新規導入):B2相当(JLPT N2以上等)が必須化。代表者本人の能力が審査対象
  • 高市政権下の方針(2025年10月発足以降):適正化・厳格化を明確に打ち出し、形式的な経営者・事業実態の薄い案件を排除する方向
  • エスニック飲食業の不許可急増:インドカレー・ネパール料理・中華系小規模飲食店で「経営実態がない」「日本語能力不足」「収益性なし」を理由とした不許可が顕著

07よくある誤解と注意点

⚠ 誤解5:「インドカレー店・エスニック飲食店なら経営管理ビザが取りやすい」
近年、インドカレー・ネパール料理・中華系小規模飲食店での経営管理ビザ不許可が急増。代表者の日本語能力、事業計画の説得力、収益性、雇用の実態(名義借りでないか)が厳しく審査されており、「店舗を構えるだけ」では通らない。形式的な経営者像はもはや通用しない
⚠ 誤解1:「資本金500万円があればまだ通る」
2025年10月改正で要件は3,000万円に引き上げ。さらに資本金は必要条件にすぎず、事業計画の継続性・信頼性・事業実態の3点が揃って初めて許可される。500万円基準で組まれた古い情報に注意。
⚠ 誤解2:「バーチャルオフィスでも住所があればOK」
住所貸しのみでは実態が伴わず不許可リスクが極めて高い。占有された執務スペース・来客対応の確保が必須。
⚠ 誤解3:「初回1年でも更新で5年になる」
更新で長期に切り替わるのは事業実績(売上・雇用・税務申告)が積み上がってから。1年→1年→3年が一般的なステップ。
⚠ 誤解4:「許認可は別物だから後でいい」
許認可業種で許可が取れないと事業計画自体が成立せず、ビザの再申請も難航する。同時並行で進めるのが正解。
  • 「資本金500万円を入金すればOK」 → 払込後すぐ引き出すと事業実体なしと判断される
  • 「バーチャルオフィスでも申請可」 → 事業実体の証明ができず不許可率高い
  • 「事業計画書はテンプレでOK」 → 業種ごとの市場分析や差別化要素が必須
  • 「不許可なら再申請すぐOK」 → 過去の不許可理由が次回審査にも影響する
  • 「更新は形だけ」 → 更新時こそ実績と継続性が問われる
  • 「日本人配偶者がいれば優遇」 → 経営・管理ビザの審査自体は配偶者の在留資格と関係なし(別ルートはあり)
  • 「家族のビザは自動的に下りる」 → 家族滞在ビザは別途申請が必要

08安心して起業に専念するために

経営管理ビザの取得は外国人起業家にとって日本でビジネスを軌道に乗せる最初の関門。書類の不備や説明不足で不許可になると、再申請までに数ヶ月のロスが発生します。

申請には会社設立・税務・労務・許認可の複合知識が必要です。初回申請から行政書士・税理士などの専門家と連携することで、許可率が大きく上がります。

次回(第3回)では、ビザ取得後に必要な会社設立と許認可の全手順を解説します。

ACTION | 経営管理ビザ取得で最初に押さえる3つのこと
  1. 3,000万円の出所証明を整備2025年10月改正で必要資本金は3,000万円。自己資金・親族借入・投資家からの出資、いずれも通帳コピーと送金記録で資金の流れを示せる状態に。
  2. 事業所は実態を伴うものを確保賃貸契約書・看板・電話・PC・什器を揃え、実際に業務する場として整える。バーチャル単体は不可。
  3. 3年分の事業計画書を作成売上根拠・取引先・コスト構造・常勤1名以上の雇用計画を数値で。VOL 3 の許認可スケジュールも組み込む。
山口 淳也
この記事の監修

公認会計士・税理士・行政書士 山口 淳也/ ESPERANZA CONSULTING GROUP 代表

日本および海外のBIG4監査法人・税理士法人・FAS(ファイナンシャルアドバイザリー)にて、クロスボーダー税務・M&A・海外進出支援・国家プロジェクトなどの実務に従事。セミナー登壇多数。税務・会計・法務の専門的観点から、企業のグローバル展開や経営課題を多面的にサポート。