労働保険の年度更新とは?中小企業の経営者が知っておくべきポイント【令和8年度対応】

労務・社会保険

労働保険の年度更新とは?
中小企業の経営者が知っておくべきポイント

毎年6月になると届く「労働保険の年度更新」の案内。届いたけれど何をすればいいのかわからない、そもそも労働保険って何?という経営者の方も多いのではないでしょうか。この記事では、年度更新の仕組みから実際にやるべきことまで、初めての方にもわかるように解説します。

01そもそも労働保険とは

労働保険は、労災保険雇用保険の2つを合わせた総称です。従業員を1人でも雇っている会社は、原則として加入義務があります。

労災保険(労働者災害補償保険)

仕事中や通勤中のケガ・病気に対して補償する保険です。保険料は全額会社負担で、従業員の負担はありません。正社員だけでなく、アルバイトやパートも対象です。

雇用保険

従業員が失業したときの失業給付や、育児休業給付などを支える保険です。保険料は会社と従業員の双方で負担します(会社の負担割合がやや多くなっています)。週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある従業員が対象です。

この2つの保険料をまとめて「労働保険料」として、年に1回まとめて申告・納付する手続きが年度更新です。

02年度更新の仕組み

年度更新を一言で説明すると、「去年の給与実績で保険料を精算し、今年の分を前払いする」手続きです。労働保険の年度は毎年4月1日〜翌年3月31日です。具体的には次の3つを同時に行います。

① 確定保険料の計算

前年度に全従業員に支払った賃金の総額を集計し、それに保険料率をかけて「実際に払うべきだった保険料」を確定させます。

② 過不足の精算

年度の始めにすでに概算で保険料を前払いしています。確定保険料との差額を精算します。

③ 今年度の概算保険料の申告・納付

今年度の賃金見込みをもとに、概算保険料を計算して前払いします。

03対象となる会社

従業員(パート・アルバイト含む)を1人でも雇っているすべての事業所が対象です。

  • 労災保険:雇用形態を問わず、すべての労働者が対象
  • 雇用保険:週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある従業員が対象
  • 役員:原則として対象外(特別加入制度あり)

04スケジュールと期限

年度更新の手続き期間は、毎年6月1日〜7月10日です。

  • 5月末〜6月初旬:労働局から申告書が届く
  • 6月中:前年度の賃金を集計し、申告書を作成
  • 7月10日まで:申告書の提出と保険料の納付

e-Gov(電子政府の総合窓口)を利用した電子申請にも対応しています。概算保険料が40万円以上の場合は3回に分けて納付(延納)も可能です(一方のみ成立の場合は20万円以上)。

期限を過ぎると認定決定+延滞金が課されます。令和8年は納期限後3ヶ月まで年2.8%、以降年9.1%です。

05経営者がやること

社労士に依頼している場合

  • 前年度の賃金台帳を社労士に共有する
  • 年度中の入退社情報を伝える
  • 申告書の内容を確認し、納付する

自社で対応する場合

  • 届いた申告書に賃金総額と保険料を記入する
  • 金融機関、労基署、またはe-Govで申告・納付する

06役員だけの会社はどうなる?

従業員がいない会社は原則として年度更新も不要です。ただし適用事業所として届出済みの場合や、労災保険に特別加入している場合は対象になります。

07令和8年度の変更点

一般の事業の雇用保険料率は1.45%→1.35%に引き下げ(事業主0.85%+従業員0.5%)。失業等給付の積立金回復が主因です。労災保険料率は変更なし(その他の各種事業は0.3%)。

年間賃金総額500万円の場合、労働保険料は約8.25万円が目安です。

08社労士・税理士の役割分担

  • 社労士:申告書作成・提出
  • 税理士:賃金台帳・給与データの提供

当グループでは税理士と社労士が連携し、お客様の負担なく手続きを完了します。

09よくある質問

Q. 忘れたらどうなる?

認定決定+延滞金が課されます。

Q. 設立1年目でも必要?

はい。翌年6月に年度更新が必要です。

Q. パートも対象?

労災は全員対象。雇用保険は週20h+31日以上の方。

Q. 保険料はいくら?

労災0.3%+雇用1.35%。賃金500万円なら約8.25万円/年。

Q. 電子申請は?

e-Govで可能。コールセンター0120-963-339(5/28〜7/17)。

参考リンク

山口 淳也
この記事の監修

公認会計士・税理士・行政書士 山口 淳也/ ESPERANZA CONSULTING GROUP 代表

日本および海外のBIG4監査法人・税理士法人・FAS(ファイナンシャルアドバイザリー)にて、クロスボーダー税務・M&A・海外進出支援・国家プロジェクトなどの実務に従事。セミナー登壇多数。税務・会計・法務の専門的観点から、企業のグローバル展開や経営課題を多面的にサポート。

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