経営・管理ビザ 完全ガイド【2026年版】|資本金3,000万円・事業性評価書・申請要件と流れ
経営・管理ビザ 完全ガイド【2026年版】|資本金3,000万円・事業性評価書・申請要件と流れ
2025年10月16日の大改正で、経営・管理ビザの要件は大きく変わりました。資本金3,000万円、日本語B2相当、事業計画の専門家確認(事業性評価書)の義務化まで——外国人起業家・外資系企業の日本進出担当者が押さえるべき最新の全要件と申請実務を、行政書士がまとめた基礎ガイドです。制度改正のたびに本ページを更新します。
最終更新日:2026年7月4日
- 経営・管理ビザ 完全ガイド【2026年版】(この記事・正典)
- 資本金の落とし穴|見せ金・未収入金・DESの実務
- 事業性評価書とは|事業計画の専門家確認が義務化
- 厳格化と外資起業家の戦略ガイド
- 速報:資本金3,000万円へ厳格化〔2025年8月〕
01経営・管理ビザとは(対象・できること)
経営・管理ビザ(在留資格「経営・管理」)は、日本で会社を設立して経営する外国人、または日本法人の役員・管理者として事業の経営や管理に従事する外国人のための在留資格です。外資系企業が日本法人を立ち上げてその経営者を派遣する場合や、外国人起業家が自ら会社を興す場合が典型例です。
この在留資格では、実体を伴った事業の「経営」または「管理」に従事することが求められます。単なる名義上の役員や、実態のないペーパーカンパニーは対象外です。付与される在留期間は5年・3年・1年・6月・4月・3月のいずれかで、事業の安定性・継続性などを踏まえて個別に判断されます。
022025年10月16日改正の全体像
2025年10月16日施行の上陸基準省令等の改正により、経営・管理ビザは「実体を伴った経営活動のみを許可する」方針が明確化され、要件が大幅に引き上げられました。旧基準と新基準の主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 旧基準(〜2025/10/15) | 新基準(2025/10/16〜) |
|---|---|---|
| 資本金・人員 | 資本金500万円 または 常勤2名以上 | 資本金3,000万円以上 かつ 常勤1名以上 |
| 日本語能力 | 要件なし | B2相当以上(JLPT N2・BJT400点等)を新設 |
| 学歴・経験 | 要件なし | 経営管理または事業に必要な技術・知識の分野の修士・博士・専門職学位 または 経営・管理の実務経験3年以上を新設 |
| 事業計画 | 計画書の提出 | 専門家の確認を受けた事業計画書(事業性評価書)が必須 |
| 事業所 | 確保(比較的緩やか) | 独立した事業所が必須(バーチャルオフィス等は困難) |
ポイントは、資本金が約6倍に引き上げられただけでなく、日本語・経営経験・専門家確認という「人」と「計画の質」に関する要件が新設されたことです。単に資金を用意すれば通る時代は終わり、事業の実体と実現可能性が正面から問われるようになりました。
03要件①:資本金3,000万円と「実在性」
新基準では、資本金(または出資の総額)が3,000万円以上であることが必要です。ここで最も重要なのは金額そのものよりも、その資本金が事業のために実際に使える形で存在しているか——すなわち「実在性」です。
「見せ金」は在留資格の取消し事由にもなり得る
審査で厳しく見られるのが「見せ金」です。増資の直後に役員へ貸し付けたり事業外の用途へ資金を流出させたりして、帳簿上「未収入金」として残っているようなケースは、資本金の実在性を疑われます。悪質と判断されれば、在留資格の取消し事由に該当する可能性もあります。
未収入金の解消策:DES(デット・エクイティ・スワップ)
役員が会社に貸し付けているお金を資本金に振り替えるDES(デット・エクイティ・スワップ)は、新たな現金の払い込みなしに負債を減らし資本金を実質化する手段として知られます。ただし、入管がDESによる資本金の増額を「実質的な事業投資」として評価するかは現時点で明確な先例がなく、慎重な設計が必要です。資本金の実在性・見せ金・DESの詳細は、資本金の落とし穴の記事で具体的に解説しています。
04要件②:常勤職員・日本語・経営経験・事業所
常勤職員(「頭数」に入る人が限定されている)
常勤職員は「週30時間以上・年間217日以上」勤務する職員を指します。注意すべきは、雇用要件の「頭数」に入るのは日本人・特別永住者・別表第二の在留資格者(永住者/日本人の配偶者等/永住者の配偶者等/定住者)に限られる点です。技術・人文知識・国際業務などの就労ビザ(別表第一)の外国人は、何人雇っても雇用要件の頭数には算入されません。
日本語能力(B2相当)
日本語教育の参照枠B2相当以上(JLPT N2、BJT400点以上など)が新設されました。これは事業主本人または常勤職員のいずれかが満たせば足ります。なお日本語要件では就労ビザの外国人も「日本語能力を満たす人」としてカウントできますが、前述のとおり雇用の頭数には入りません。
学歴・経営経験
経営管理に関する分野、または申請に係る事業の業務に必要な技術・知識の分野における修士・博士・専門職学位(外国で授与された相当学位を含む)を有すること、または経営・管理の実務経験が3年以上あること(在留資格「特定活動」による起業準備活動の期間を含む)が求められます。分野を問わない学位で足りるわけではない点に注意してください。
独立した事業所
事業を営むための独立した事業所の確保が必須です。他社と混在するバーチャルオフィスやレンタルデスクのみでは要件を満たすことが難しく、事業の実体を示せる物理的な拠点が必要です。
05要件③:事業性評価書(専門家確認)
改正のもう一つの柱が、事業計画の「専門家による確認」の義務化です。専門家が事業計画の実現可能性を確認し文書化したものを「事業性評価書」と呼びます。虚偽や過大な収支計画による名目だけの会社設立を防ぎ、事業の実体と実現性を担保するための仕組みです。
専門家が見る3つの物差し
| 評価軸 | 見られる観点 |
|---|---|
| 具体性 | 誰に・何を・どう売るのかが具体的か(例:「日本企業向けにECサイト構築を月3社受注」) |
| 合理性 | 前提や数字に筋が通っているか(売上増に人件費・仕入が連動し、利益構造が成立するか) |
| 実現可能性 | その資本・人員・経験で実行できるか(計画規模と資本金・人員・経験が釣り合うか) |
確認対象となる事業計画書の10項目
専門家が確認する事業計画書は、おおむね次の10項目で構成されます。事業の中身:①事業の概要 ②経営理念 ③サービスの内容 ④顧客のターゲット ⑤商品・品目 ⑥価格設定 ⑦集客の方法 ⑧販売先・仕入先。数字の計画:⑨損益計画書(1期分〜5期分) ⑩人員(雇用)計画。
依頼できる専門家と、依頼のタイミング
確認を行える専門家は、施行日時点で資格を有する中小企業診断士・公認会計士・税理士に限られます。米国公認会計士などの海外資格は対象外です。また、申請者の会社の役員・従業員は客観性の観点から評価者になれません(外部顧問であれば差し支えありません)。完成した計画を後から「確認だけ」依頼するのではなく、計画段階から専門家に関与してもらうのが実務上の要点です。数字に矛盾があると評価段階で大幅な作り直しになるためです。なお評価文書の様式は現時点で定められておらず自由様式が前提で、細部の運用はこれから定着していく部分があります。事業性評価書の詳細は専用記事をご覧ください。
06申請の流れと必要書類
外資系企業の日本進出・外国人起業のいずれの場合も、大きな流れは次のとおりです。
- 事業計画の策定と専門家への相談——計画段階から中小企業診断士・公認会計士・税理士に関与を依頼し、事業性評価書の作成につなげます。
- 会社設立・資本金の払込み——定款作成・登記、3,000万円以上の資本金の払込み(実在性を保てる形で)。
- 独立した事業所の確保——賃貸借契約・レイアウト等、事業の実体を示せる拠点を用意します。
- 在留資格認定証明書交付申請——事業性評価書・事業計画書・登記事項証明書・資本金の証憑・事業所の資料・日本語能力や経営経験の疎明資料などを添えて出入国在留管理庁に申請します。
- 証明書交付後、査証申請・入国——海外にいる場合は在外公館で査証を取得し入国、国内での変更の場合は在留資格変更許可申請を行います。
更新申請の場合は、これらに加えて事業の実態を示す決算書・確定申告書などが求められ、2025年7月以降は「事業活動の内容説明文書」の提出が原則必須となっています。
07在留期間・更新・経過措置(2028年10月まで)
2025年10月16日時点で既に経営・管理ビザを保持している人には、2028年10月16日までの3年間の経過措置が設けられています。この期間の更新申請では、旧基準(資本金500万円または常勤2名)をベースに個別に判断されますが、段階的に新基準への適合が求められていく点に注意が必要です。
また前述のとおり、2025年7月以降の更新申請では「事業活動の内容説明文書」により、売上・取引先・従業員の状況など事業の実態を具体的に説明することが原則必須です。経過措置は「更新すれば従来どおり」を保証するものではなく、更新のたびに事業の実体が問われる点を踏まえ、早めに新基準を見据えた体制づくりを進めることが重要です。
08よくある不許可・落とし穴
- 資本金の見せ金・未収入金:増資直後の役員貸付・事業外流出で実在性を疑われる(→取消し事由にもなり得る)。
- 常勤職員の頭数違い:就労ビザの外国人を雇用要件の人数に数えてしまう。
- 事業所の実体不足:バーチャルオフィスや自宅の一室のみで独立性を示せない。
- 計画の後付け評価:完成後に専門家へ「確認だけ」依頼し、数字の矛盾で大幅な作り直しになる。
- 日本語・経営経験の疎明不足:B2相当や実務経験3年を客観的に示す資料が足りない。
09費用と専門家に依頼するメリット
2025年10月改正後の経営・管理ビザは、資本金・人員・日本語・経営経験・事業性評価書という複数の要件が連動し、事業計画の質そのものが審査対象になりました。とりわけ事業性評価書は、計画段階から中小企業診断士・公認会計士・税理士が関与する必要があり、税務・会計・事業計画・在留資格の各観点を横断して設計しなければなりません。
ESPERANZA CONSULTING GROUPは、公認会計士・税理士・行政書士が在籍し、会社設立から資本政策(資本金の実在性・DES等)、事業計画・事業性評価、在留資格申請までをワンストップで支援します。外資系企業の日本進出・外国人起業のいずれにも対応します。
会社設立・資本政策・事業性評価書・在留資格申請まで、公認会計士・税理士・行政書士がワンストップで対応します。改正後の新要件に沿った事業計画の設計から、ご相談ください。
10よくある質問(FAQ)
Q. 資本金は本当に3,000万円必要ですか?分割払込みは可能ですか?
新基準では資本金(出資の総額)3,000万円以上が原則です。重要なのは金額を用意することだけでなく、それが事業のために実在していることです。見せ金と疑われる資金移動は避け、資本金の使途を事業計画と整合させてください。
Q. 日本語要件は経営者本人が満たす必要がありますか?
いいえ。日本語B2相当は、事業主本人または常勤職員のいずれかが満たせば要件を充足できます。
Q. 今持っている経営・管理ビザは、更新でどうなりますか?
2025年10月16日時点で保持している方には2028年10月16日までの経過措置があり、当面は旧基準をベースに個別判断されます。ただし更新のたびに事業の実態が問われ、段階的に新基準への適合が求められます。「事業活動の内容説明文書」の準備も必要です。
Q. 事業性評価書は誰に頼めばよいですか?
施行日時点で資格を有する中小企業診断士・公認会計士・税理士に依頼します。海外資格は対象外で、自社の役員・従業員は評価者になれません。計画段階からの関与が望ましいです。
11まとめ
2025年10月16日の改正で、経営・管理ビザは「資金を用意すれば通る」段階から、「事業の実体と実現可能性を、資本・人員・日本語・経営経験・専門家確認の全体で示す」段階へと変わりました。論点そのもの——実体のある経営か——は変わりませんが、求められる水準と証明の方法が引き上げられています。本ページは制度改正のたびに最新化していきます。個別の要件充足や事業計画・事業性評価書の設計については、経営・管理ビザ申請サポートよりご相談ください。

公認会計士・税理士・行政書士 山口 淳也/ ESPERANZA CONSULTING GROUP 代表
日本および海外のBIG4監査法人・税理士法人・FAS(ファイナンシャルアドバイザリー)にて、クロスボーダー税務・M&A・海外進出支援・国家プロジェクトなどの実務に従事。セミナー登壇多数。税務・会計・法務の専門的観点から、企業のグローバル展開や経営課題を多面的にサポート。


