経営・管理ビザ要件が資本金3,000万円へ厳格化【速報】

経営管理ビザシリーズ ①

経営・管理ビザ要件 資本金3,000万円への引き上げ

在留資格「経営・管理」の資本金要件引き上げの影響と、外国人起業家が取るべき対策を解説します。

01改正案の概要

3,000万円
改正後の資本金要件
従来500万円から6倍
1名以上
常勤雇用要件
日本人または永住者の常勤雇用必須
2025/10
高市政権下で実施
改正初年度から不許可率上昇
項目従来要件改正後要件(2025年10月〜)
資本金500万円以上3,000万円以上(6倍)
常勤雇用2名以上 or 500万円常勤1名以上+3,000万円が原則
事業所独立した事業所(バーチャル不可)同左+実態審査の強化
事業計画合理的な事業計画専門家(診断士・会計士・税理士)の確認必須+継続性・収益性の精査
実務経験明示要件なし経営・管理の実務経験3年以上または修士号等が必須
語学要件明示要件なし日本語B2相当(JLPT N2以上等)必須
CHANGE 01
資本金引上げ
500万円 → 3,000万円へ。長らく続いた500万円基準が大幅厳格化。
CHANGE 02
適用時期
2025年改正で段階適用。新規申請は新基準、既存ビザ更新は経過措置あり(要確認)。
CHANGE 03
代替要件
資本金3,000万円未満でも、常勤雇用2名以上で要件充足の可能性。
  • 資本金要件:500万円以上 → 3,000万円以上(6倍)
  • 雇用要件:常勤職員1名以上併せて満たすこと
  • 年内省令改正、2026年施行を目標
  • 高度人材確保のための例外措置も検討

02厳格化の背景

BG 01
名目だけの会社の急増
バーチャルオフィス・ペーパーカンパニーによる「ビザ取得目的の会社」が問題視。実態のある経営者の選別が必要に。
BG 02
エスニック飲食店の不許可急増
2024年以降、インドカレー・中華・ベトナム飲食店などの新規申請で不許可が続出。形式的事業実態の審査強化。
BG 03
資本流入規模の格上げ
政府は外国人起業家による日本経済への実質的貢献を求めており、500万円では不十分との認識。
BG 04
高市政権の入管厳格化方針
2025年10月発足以降、不法就労・不正取得対策を強化。経営管理ビザもその一環。
BG 05
国際的な投資ビザ標準への整合
米国EB-5(80万ドル)、英国Innovator(5万ポンド)など、各国の投資ビザ要件と整合させる動き。
BG 06
既存事業者保護の声
日本の既存事業者から「外国人起業家が安易に参入し競争が歪む」との声。本格起業家のみ通す方針。

「名目投資」や「偽装起業」の増加を抑止し、韓国・米国・シンガポール並みの審査水準へ引き上げる狙いがあります。

03想定スケジュール

2025年10月
高市内閣発足。経営管理ビザ要件改正を実施。新規申請は新要件で審査。
2025年11月〜2026年3月
改正初年度の運用安定化期間。既存ビザ更新は経過措置で従来要件適用。
2025年10月〜2028年10月
経過措置期間。既存ビザ保持者の更新は旧基準で審査可能。事業実態の継続性が条件。
2028年10月16日〜
経過措置終了。既存保持者にも新基準が全面適用。資本金増資or事業構造変更が必要に。
⚠ 経過措置の落とし穴:既存の経営管理ビザ保持者は更新時に旧要件で審査されるケースが多いが、新規申請扱いになる「事業の大幅変更」「実質的経営者の交代」では新要件が適用されるため、現状維持的な運営が継続条件。
  • 2025年8月:報道発表(最終調整段階)
  • 2025年8〜9月:有識者会議でパブリックコメント
  • 2025年12月:省令改正公布予定
  • 2026年春〜夏:新要件施行

04実務への影響とリスク

RISK 01
不許可率の急上昇
改正直後は審査が極めて厳格。形式要件を満たしても実態審査で不許可になるケースが多発。事業計画の精緻化が必須。
RISK 02
資金調達ハードルの増大
3,000万円を自己資金で準備するのは困難。銀行借入・投資家資金導入を含めた調達戦略が必要に。
RISK 03
既存ビザ更新時のリスク
経過措置が段階的に解除される中、更新時に増資・雇用増加を求められる可能性。事業計画の再構築。
RISK 04
家族の在留資格への波及
本人の経営管理ビザが不許可・更新拒否→家族滞在ビザも失効。家族の生活基盤への影響大。
RISK 05
業種別の追加規制
飲食業・小売業など特定業種で追加要件(営業実績・売上水準)が課される可能性。業種特性に応じた準備が必要。
RISK 06
専門家費用の増加
行政書士・税理士・社労士への手続き依頼費用が改正対応で増加。初回80〜150万円規模の見積もりも。

① 資金調達ハードルの大幅上昇

―3,000万円を運転資金として確保できないと初回申請が難しくなります。

② 雇用コストの固定化

―社会保険加入済み従業員を雇用・維持する必要があります。

③ 審査資料の高度化

出入国在留管理庁ガイドライン

に沿った事業計画や雇用契約書が必須です。

05今すぐ取るべきアクション

  • 資本金3,000万円以上の資金調達プランを策定
  • 雇用予定者の採用・社会保険加入を前倒しで準備
  • 3年分の事業計画(英日併記)を作成
  • 税金・社会保険料の滞納ゼロを維持
  • 既存ビザ保持者は更新基準の遡及適用に備えキャッシュフロー改善策を検討

厳格化はハードルを上げると同時に、

実質性を重視する健全な起業環境

を整える動きとも言えます。盤石な資本力・雇用体制・事業計画を整え、日本でのビジネス成功を目指しましょう。 申請戦略や証拠書類作成でお困りの方は、

※本記事は2025年8月4日付朝日新聞記事および出入国在留管理庁公表資料を基に作成しています。正式な省令・運用要領の発表により内容が変更される場合があります。

06既存のビザ保持者への影響

今回の改正は新規申請だけでなく、既に経営・管理ビザを保持している方にも影響する可能性があります。経過措置として施行日から一定期間は現行基準が適用される見通しですが、更新時に新基準を求められるリスクがあります。特に以下のケースは早急な対応が必要です。

  • 資本金500万円ギリギリで設立した法人
  • 役員報酬のみで常勤従業員がいない法人
  • 2026年以降にビザ更新が控えている方

07資金調達の現実的な選択肢

資金調達手段調達可能額難易度主な要件
自己資金準備した分★(最易)送金記録・原資証明が必要
家族・親族からの借入合意次第★★金銭消費貸借契約書必須。返済計画も明確化
日本政策金融公庫最大3,000万円(新創業融資)★★★事業計画書・面談。外国人創業も対応
民間銀行(プロパー)事業内容次第★★★★担保・保証人。新規外国人起業家は難易度高
VC・エンジェル投資3,000万〜数億円★★★★事業の成長性・スケール可能性。経営権の希薄化リスク
クラウドファンディング百万〜数千万円★★★事業の社会的意義・共感性
💡 推奨組み合わせ:3,000万円のうち 自己資金1,500万円+日本政策金融公庫1,500万円 が現実的な組み合わせ。VCは事業ステージが進んでから検討。

3,000万円の資本金要件をクリアするためには、以下の方法が考えられます。

  • 増資:既存法人の資本金を増額する。ただし登記費用や税務上の影響を検討する必要あり
  • DES(デット・エクイティ・スワップ):役員借入金を資本金に振り替える手法。詳細は経営管理ビザと資本金の落とし穴を参照
  • 新規出資者の招聘:共同出資者を迎え入れる方法。ただし経営権の分散に注意

08よくある質問(FAQ)

Q. 現在ビザを持っていれば、改正後もそのまま在留できますか?

経過措置が設けられる見通しですが、次回のビザ更新時に新基準が適用される可能性があります。更新時期を確認し、早めに対策を検討してください。

Q. 資本金3,000万円は「見せ金」でもよいのですか?

いいえ。入管は資本金の実質的な拠出と事業への活用を確認します。一時的に借り入れて口座に入金し、すぐに引き出すような「見せ金」は、審査で不利になるだけでなく、刑事罰の対象となる可能性があります。

Q. 常勤職員1名の「常勤」の定義は?

一般的に、週30時間以上勤務し、社会保険に加入している従業員を指します。役員は含まれません。パートタイムやアルバイトでは要件を満たさない点に注意してください。

09専門家への相談をお勧めするタイミング

以下の状況に該当する場合は、ビザ専門の行政書士や税理士に早期相談することを強くお勧めします。

  • 2026年中にビザ更新が控えている
  • 現在の資本金が1,000万円未満である
  • 常勤従業員を雇用していない、または雇用予定がない
  • 資金調達(増資・DES・出資)の方法に迷っている
  • 複数のビザカテゴリー(高度専門職等)への変更を検討したい

改正内容が確定するまでの間に準備を進めることで、施行後の対応をスムーズに行えます。パブリックコメントの動向にも注目しておきましょう。

ACTION | 3,000万円改正に対応する6つの実務ステップ
  1. 新規申請者:申請前に資金調達戦略を確定自己資金+日本政策金融公庫の組み合わせを推奨。送金・原資証明・返済計画を整え、事業計画書と整合させる。
  2. 既存保持者:次回更新時の対応を逆算更新6ヶ月前から実態審査の準備。資本金の段階的増資、常勤雇用の追加採用、事業計画書の精緻化。
  3. エスニック飲食業:実態のある事業計画書作成形式的・テンプレ的事業計画は不許可リスク高。市場分析・収支計画・採算性を専門家と精緻化。
  4. 行政書士・税理士との早期連携改正対応経験のある行政書士を選び、税理士と連携。事業計画書の数値整合性を確保。
  5. 家族の在留資格リスクへの備え本人ビザの不許可・更新拒否時に家族滞在ビザも失効。代替プラン(帰国・他ビザ切替)を準備。
  6. 業界団体・コミュニティとの情報共有改正運用は審査官・地域によって解釈に差が出る。先行事例・不許可事例を共有するネットワーク参加。
山口 淳也
この記事の監修

公認会計士・税理士・行政書士 山口 淳也/ ESPERANZA CONSULTING GROUP 代表

日本および海外のBIG4監査法人・税理士法人・FAS(ファイナンシャルアドバイザリー)にて、クロスボーダー税務・M&A・海外進出支援・国家プロジェクトなどの実務に従事。セミナー登壇多数。税務・会計・法務の専門的観点から、企業のグローバル展開や経営課題を多面的にサポート。