外国籍社員の給与・源泉徴収・年末調整|HR実務の確認ポイント【HR外国籍税務②】

HR担当者・人事責任者向け実務ガイド

外国籍社員の給与・源泉徴収・年末調整
HRが最初に確認すべき実務ポイント

「日本人社員と同じ処理で大丈夫ですか?」年末調整のやり直し・追徴課税・ビザ更新への影響―属人化した処理が生むリスクを整理します。

BIG4出身の国際税務専門家が、HR担当者の"社内判断補助メモ"として使える基準を公開

HR外国籍税務シリーズ(全7回+別冊2本)

①確定申告②給与・源泉③RSU課税④非永住者⑤ビザ更新⑥出国・帰任⑦体制構築
別A:専門家に依頼すべき5つのサイン別B:簡易リスク診断

この記事を30秒で理解する

  • 居住者区分(居住者/非永住者/非居住者)で源泉徴収率が大きく変わる
  • 年末調整の対象・非対象をHRが正しく判断するためのフロー
  • 海外親会社報酬・RSUがある社員は年末調整だけでは不十分
外国籍社員の給与計算・源泉徴収・年末調整は、日本人社員とはルールが異なる場面が少なくありません。しかしその処理は、多くの企業で担当者の経験頼みになっています。

居住者・非居住者の判定/非永住者への課税範囲/国外居住扶養親族の書類要件――これらを誤ったまま年末調整を行うと、追加納税・社員との信頼関係の悪化・最悪の場合はビザ更新への影響まで及びます。

本記事では、外国籍社員を抱える企業のHR担当者が①居住者区分の確認 → ②給与・源泉徴収の論点整理 → ③年末調整の落とし穴の把握という順番で使える実務ガイドとして、ポイントを整理します。

「今の処理が正しいか確認したい」段階でのご相談を歓迎します

外国籍社員の給与・源泉徴収・年末調整の実務を、専門家が無料で整理します。

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在留資格別 源泉徴収フロー

在留資格の種類によって、源泉徴収の方法が異なります。以下のフローで確認してください。

社員の在留資格を確認
居住者(永住者・配偶者等)

通常の源泉徴収

給与所得の源泉徴収税額表(月額表)に基づく
年末調整の対象

非永住者(在住5年以下)

要注意

国内払いは通常源泉徴収
海外親会社報酬・RSUは送金課税の判定が必要
年末調整は対象だが確定申告が別途必要な場合あり

非居住者(滞在1年未満予定)

20.42%源泉徴収

一律20.42%の源泉徴収
年末調整の対象外
租税条約による減免申請の可能性あり

判断に迷ったら
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居住者区分の判定は複雑です。
BIG4出身の専門家がサポートします。

1. HRの現場でよく起きること:属人化するリスクの正体

よくある現場シーン
外国籍社員Aさんの年末調整を担当することになったHR担当者。前任者から「去年はこうやった」と引き継いだExcelで処理を進めたが、Aさんの扶養親族は本国在住。書類の要件が変わっていたことを誰も把握していなかった――

これは珍しいケースではありません。外国籍社員の税務処理が属人化しやすい理由は3つあります。

情報が分断される

HR・Payroll・経理・法務で担当が分かれ、本社報酬・RSU・海外家族情報が一元管理されていない。

法改正が追いつかない

国外居住扶養親族の書類要件は平成28年・令和5年と改正が続いている。毎年同じ処理が通用しない。

担当者交代でリセットされる

「前任者がそうしていた」という理由で継続され、誰も根拠を説明できない処理が積み上がっていく。

コンプライアンスリスクとしての位置づけ:
外国籍社員の税務対応ミスは、追加納税・ペナルティだけでなく、社員のビザ更新審査(納税状況が確認される)、さらには会社の信頼にも影響します。「担当者が変わったら分からなくなる」という状態は、企業として看過できないリスクです。

2. なぜ外国籍社員の処理は複雑になるのか

外国籍社員に日本人社員と同じ処理を当てはめると問題が起きるのは、税法上の区分と課税範囲が「国籍」ではなく「滞在実態と経歴」によって変わるからです。

HR担当者が把握しておくべき分岐点は、大きく3つあります。

確認すべき分岐点 なぜ重要か 影響を受ける処理
①居住者か非居住者か 国内勤務でも、居住者でなければ20.42%の分離課税になる 源泉徴収税率、年末調整の可否
②永住者か非永住者か 課税される所得の範囲(海外収入含むか)が変わる 海外報酬・RSU・配当への課税判定
③租税条約の適用があるか 条約により源泉徴収税率が軽減される場合がある 源泉徴収額、届出の要否

これらの分岐を確認せずに年末調整を行うのは、目的地を確認せずにナビをセットするようなものです。「とりあえず日本人と同じ処理で」は通用しません。

3. HRが最初に確認すべき:居住者・非居住者・非永住者の区分

居住者・非居住者の判定基準

判定基準は「国籍」ではなく、日本国内での滞在実態です。

区分 要件 給与への課税
居住者 国内に住所あり、または1年以上継続して国内に居所あり 給与所得として課税(通常の源泉徴収)
非居住者 上記以外(短期赴任・出張など) 国内源泉所得のみ20.42%の源泉分離課税
⚠️ HRが最初に確認すべきこと
来日・着任のタイミングで住所登録が完了していれば「居住者」として処理。
「外国人だから非居住者」は誤りです。入社直後でも住所登録済みであれば居住者扱いとなり、通常の給与所得として源泉徴収します。非居住者として20.42%で源泉してしまうと、過大徴収になり年末調整もできません。

居住者の中でもさらに重要:「非永住者」という区分

居住者と判定される場合、さらに「永住者」「非永住者」に分かれます。多くの外国籍社員は来日後5年以内は「非永住者」に該当し、課税される所得の範囲が異なります。

区分 要件 課税範囲
永住者 非永住者以外の居住者(日本国籍・永住権保有者など) 全世界所得
非永住者 日本国籍がなく、過去10年間の日本居住が5年以下 国内源泉所得+国外源泉所得の国内払い・国内送金分
ポイント:非永住者の海外口座への直接送金分(国内未送金の国外所得)は原則課税対象外です。ただし6年目以降は全世界所得課税に変わります。RSUが親会社から海外口座に付与される場合は、日本勤務期間に対応する部分が国内源泉所得となり、注意が必要です。

4. 給与・Payrollとの接続:源泉徴収で抜け漏れが出やすい境界線

HR担当者が最も悩むのは、「どこまでが会社の源泉徴収義務の範囲で、どこから社員の自己申告になるのか」という境界です。

HRが把握しておくべき源泉徴収の実務

1
扶養控除等申告書の収集(入社時・年初) 外国籍社員にも提出が必要。未提出の場合は「乙欄」(高い税率)で源泉徴収し、年末調整もできません。「外国人だから不要」という思い込みが最も多いミスです。
2
国外居住扶養親族がいる場合の書類収集 扶養控除に計上する場合、親族関係書類+送金関係書類が毎年必要(平成28年改正)。さらに令和5年改正で30歳以上70歳未満の国外居住親族には追加要件が設けられました。同じ書類を使い回すと否認リスクがあります。
3
本社報酬・住宅補助・Tax Equalizationの処理方針確認 外国籍社員は、日本法人給与以外に海外親会社から直接支払いを受けているケースがあります。日本法人が把握・コントロールしていない報酬でも、課税・源泉義務が生じる場合があります。Payroll担当との情報共有が必須です。
4
住民税の特別徴収管理 1月1日時点で日本に住所があれば住民税が課されます。来日2年目から始まるため、1年目に住民税徴収がなかった社員への説明と、翌年からの特別徴収開始の案内が必要です。
5
租税条約の届出管理 米国・英国・中国・韓国など多くの国と租税条約が締結されています。条約による源泉税率軽減は自動適用されません。税務署への届出(租税条約に関する届出書)が必要で、担当者が変わると失念されやすいポイントです。
RSU・株式報酬の盲点
海外親会社から直接付与されるRSU(制限付株式ユニット)は、「会社が関与していないから処理不要」と思われがちです。しかし日本勤務期間中のベスティングに対応する部分は、会社が源泉徴収義務を負うケースがあります。HR担当者がRSUの付与状況を把握していない場合、後から修正申告が必要になることがあります。
→ RSU課税HR向けの解説(別記事)はこちら

HR担当者の「個別判断」が難しいと感じたら

居住者・非永住者・非居住者の判定は、在留資格・来日日・国籍・滞在期間によって変わります。また給与・Payroll・本社報酬・RSUが絡む場合、HR単独での判断には限界があります。初回無料相談(30〜60分)で現状の整理をお手伝いします。

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5. 年末調整でHRが見落としやすい5つのポイント

年末調整できる

  • 12月31日時点で居住者
  • 扶養控除等申告書提出済み
  • 当年中に日本で給与を受けている

年末調整できない

  • 年途中で出国(非居住者に変更)
  • 扶養控除等申告書を提出していない
  • 2か所以上からの給与受領

見落とされやすい5ポイント

1
国外居住扶養親族:書類の毎年更新を怠る 「去年提出したから今年も有効」は誤り。親族関係書類と送金関係書類は原則毎年収集が必要です。また令和5年改正で30歳以上70歳未満の国外居住親族には「留学・障害・38万円以上送金」のいずれかの要件が追加されました。
2
扶養控除等申告書を収集し忘れ「乙欄」のまま 乙欄は税率が高く設定されています。年間を通じて乙欄で処理されると、本人は確定申告で還付を受ける必要が生じ、HR側への不満につながります。
3
年途中出国の対応が不明確 出国日をもって非居住者となった社員は年末調整の対象外。出国前に「年末調整に準じた計算」もしくは本人が準確定申告を行う必要があります。どちらで対応するかの方針とフローが未整備の企業が多いです。
4
納税管理人の案内漏れ 出国後に所得が発生する場合、日本に「納税管理人」を置く必要があります。会社から本人への事前案内が必要ですが、手続きを知らないHR担当者が多く、出国後に問題が発覚するケースがあります。
5
住民税の退職・異動手続き忘れ 出国後は住民税が課されなくなりますが、市区町村への異動届出(特別徴収から普通徴収への切り替えなど)が必要です。退職時の手続きリストに含めることが重要です。

6. 企業として外部専門家に早めに相談すべきケース

外国籍社員の税務はすべてを外部専門家に委ねる必要はありません。しかし以下のいずれかに当てはまる場合、社内判断には限界があります。

このような状況なら、早めの相談をお勧めします

  • 海外親会社からのRSU・ストックオプション・住宅補助がある社員がいる
  • 非永住者に該当する社員がいるが、課税範囲を正確に把握していない
  • 年途中入社・出国・帰任が複数件あり、処理が個別判断になっている
  • 租税条約の適用について届出を出しているか確認できていない
  • 過去の処理に自信がなく、税務調査時のリスクが不明な状態
  • HR・Payroll・経理で外国籍社員の情報が分断されており、誰が全体を把握しているか不明

「まずスポットで1〜2名レビューしてほしい」「今ざ処理の棚卸しだけしたい」という段階からのご相談も可能です。初回30〜60分の無料相談で一次診断まで行います。

7. HR担当者のための自社チェックリスト

「NO・不明」が1つでもあれば、専門家への相談または社内フローの見直しが必要です。

  • 外国籍社員全員について居住者/非居住者の判定記録があるか
  • 非永住者に該当する社員を把握し、課税範囲(国外所得の取り扱い)を管理している
  • 全外国籍社員から「扶養控除等(異動)申告書」を毎年収集・保管している
  • 国外居住扶養親族がいる社員の親族関係書類・送金書類を年度ごとに収集している
  • RSU・ストックオプションなど株式報酬の課税タイミングと源泉処理の方針が明確になっている
  • 租税条約が適用できる社員について届出を提出・管理している
  • 年途中出国予定の社員に対し、出国時の税務手続き(準確定申告・納税管理人)を案内している
  • HR・Payroll・経理間で外国籍社員に酬情報が一元管理されている

8. まとめ:「整理・診断・レビュー」の3ステップ

外国籍社員の給与・源泉・年末調整の処理ミスは、判定の誤り1つが複数年にわたる修正申告・追徴課税・社員の信頼喪失につながります。しかしそれらの多くは、「整理・診断・レビュー」の3ステップで防げます。

整理:社員一人ひとりの区分と報酬構造を確定させる 居住者/非居住者、永住者/非永住者、海外報酬の有無を在留資格・来日日・滞在記録と照合して記録化する。
診断:過去の処理に漏れ・誤りがないか確認する 扶養控除書類・RSU対応・租税条約届出・年途中出国対応など、見落としやすい項目をリストアップして点検する。
レビュー:年末調整・源泉処理の内容を専門家に確認してもらう BIG4出身の国際税務専門家によるレビューで、HR担当者が見落としやすいリスクの早期発見と対処が可能。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務アドバイスではありません。具体的な判断については、税理士等の専門家にご相談ください。
※税制は改正されることがあります。最新の情報については国税庁のウェブサイト等でご確認ください。
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